ウィッチャー原作小説Sword of Destinyの内容と感想(英語版)

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2019年12月現在、日本語にまだ翻訳されていないウィッチャーの短編小説『Sword of Destiny』(ポーランド語原作の英語版)を読み終わった。

※2022年3月16日に日本語版の『ウィッチャー短篇集2 運命の剣』が発売されました(2022/03/27更新)

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本記事では小説およびゲームの大きなネタバレをせず、

  • 『Sword of Destiny』とはどのような本か
  • どのような短編が収録されているのか
  • 本全体の感想

を紹介する。



ウィッチャー短編小説『Sword of Destiny』について

『Sword of Destiny』はポーランドの作家アンドレイ・サプコフスキによる小説で、ウィッチャーシリーズ1作目の『The Last Wish』に続く2作目の短編集だ。

>>ウィッチャー原作小説The Last Wishの内容と感想(未翻訳・英語版)

1992年にポーランドで出版され、2015年に英語版が出版されたほか、現在はヨーロッパ各国語に翻訳されている。

時系列では『ウィッチャーI エルフの血脈』から始まるウィッチャーサーガ全5巻よりも前の出来事が書かれている。

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収録されている6つの短編について

『Sword of Destiny』には6つの短編が収められている。以下、各短編を簡単に紹介する。

The Bounds of Reason

※日本語タイトル:可能性の限界

ゲラルトがイェネファーを追ってドラゴン退治の一団に同行する話。ドラゴンをめぐる人々の思惑、イェネファーの悲願などが描かれる。

主な登場人物:ゲラルト、イェネファー、ダンディリオン

前作の短編の1つ、「The Last Wish」でゲラルトとイェネファーは恋人関係になったが、本作の開始時点でふたりは別れている。

>>イェネファーとの出会い。ウィッチャー短編小説「The Last Wish」


A Shard of Ice

※日本語タイトル:氷のかけら

ゲラルトと魔術師イストレッドがイェネファーを求めて争う話。イェネファーの複雑な人間性や、ゲラルトとイェネファーの一筋縄ではいかない関係が語られる。

主な登場人物:ゲラルト、イェネファー


Eternal Flame

※日本語タイトル:永遠の炎

ゲラルトとダンディリオンがノヴィグラドで、友人の商人に姿を変えたドップラーを追う話。ゲーム「ウィッチャー3」で登場するドゥードゥーとの出会いが描かれる。

主な登場人物:ゲラルト、ダンディリオン、ドゥードゥー


A Little Sacrifice

※日本語タイトル:小さな犠牲

ゲラルトがアグロヴァルの依頼を受け、人魚と結婚するための仲介をしたり、海の怪物と戦ったりする話。

人魚と人間の種族を超えた愛や、ダンディリオンの友人である吟遊詩人との関わりを通して、ゲラルトはイェネファーへの思いを深める。

主な登場人物:ゲラルト、ダンディリオン

『Sword of Destiny』の中で、ドラマ化したら一番おもしろいだろうなと思ったエピソードがこれ。


The Sword of Destiny

※日本語タイトル:運命の剣

ブロキロンの森の長エイスネに会いに行く道中で、ゲラルトがシリと名乗る10歳くらいの少女と出会う話。

主な登場人物:ゲラルト、シリ

前作の短編の1つ、「A Question of Price」での約束のその後が明かされる。

>>ゲラルトとシリの関係の始まり。ウィッチャー短編小説「A Question of Price」


Something More

※日本語タイトル:それ以上のもの

ゲラルトは商人の危機を救い、報酬にあるものを要求する。また、シントラに向かうゲラルトは、再会したダンディリオンからある事実を聞く。ゲラルトとシリの運命が再び交差する話。

1つ前の短編「The Sword of Destiny」のその後にあたる作品。

ゲラルトの母親のことや、ニルフガード軍のシントラ侵攻についても触れられている。

主な登場人物:ゲラルト、シリ、イェネファー、ダンディリオン



『Sword of Destiny』全体的な感想

ドラゴン、魔法、人魚、木の精などのファンタジー要素をふんだんに盛り込みつつ、『Sword of Destiny』のテーマは愛と運命だ。

愛といえばゲラルトとイェネファー。

ゲラルトとイェネファーの、他人には理解できないステキとは程遠い関係は、難しくも切なく興味深かった。

どんなにイェネファーから距離を置かれても、ゲラルトは事あるごとにイェネファーを思い出す。

ゲラルトのイェネファーへの愛は深く、ウィッチャー3でトリスを選ぶのは無理がある、トリスを選んでも絶対この男はイェネファーのところに戻る、と今では自信を持って言える。

運命といえば、やはりゲラルトとシリの関係。

前作でゲラルトは驚きの法を行使し、シリの運命をもらい受ける。

>>ゲラルトとシリをつないだ驚きの法とは。ウィッチャーの世界の習慣

しかし今作のゲラルトは「運命は信じない」と言う。

そんなゲラルトが思わぬ形でシリとの切っても切れない結びつきに直面し、運命の波に飲まれていく話の展開に圧倒された。

この頃のシリは、まだ自分の力や運命について知らないプライドの高いお姫さま。ゲラルトと運命で結ばれていることは好意的にとらえている。

ゲラルトとシリの温度差と距離感の変化も印象的だった。

まあ、短編ではシリが何者だとか、シリはどうなるのかとか、最後まで読まないと分からないようになっているのだが、「ウィッチャー3」を10分でもプレイした人にとってはダースベイダーの正体のように「そんなこと知ってる」という話だったりする。

でも、結末を知っていても私は最後の文章で泣きそうになった。

詳しくは各話の感想で語ろうと思う。

残るウィッチャーの原作小説は『Season of Storms』という短編のみ。こちらも読み終わり次第、内容や感想をまとめる予定だ。

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