ゲラルトとシリをつないだLaw of Surpriseとは。ウィッチャーの世界の習慣


ウィッチャーの世界には「Law of Surprise」という風習がある。

ゲラルトとシリを運命でむすんだのもLaw of Surpriseであり、その経緯は「A Question of Price」という短編小説で描かれている。

>>ゲラルトとシリの関係の始まり。ウィッチャー短編小説「A Question of Price」

本記事ではLaw of Surpriseとは何か、私の調べた内容をもとに解説し、ウィッチャーの作品内でLaw of Surpriseがどのように登場しているかを紹介する。



Law of Surpriseとは

日本語にすると「驚きの法」だろうか。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』のDLC「血塗られた美酒」でアンナ・ヘンリエッタがLaw of Surpriseについてゲラルトに質問するシーンを英語動画で見つけたので、おそらく日本語訳も探せばあるはずなのだが、とりあえず本記事ではLaw of Surpriseを使うことにする。

Law of Surpriseとは、

誰かに助けてもらったら助けてくれた人に報酬を渡すことを定めているが、その報酬が何になるかは分からない

というもの。

なお、報酬を受け取る側はそれが何か知っているときもあるし、知らないときもあるようだ。

例1:

助けてもらった人「助けていただきありがとうございます! お礼に何でも差し上げます!」

助けた人「では君が家に戻ったとき最初に出迎えてくれたものをいただこう」

Law of Surpriseが発動。

(この時点では何が報酬になるか、助けてもらった人も助けた人も分からない)

助けてもらった人が帰宅する。

帰宅時、最初に出迎えてくれたものが報酬となる。犬でも門番でも家族でも何でも、報酬となったものを助けてくれた人に渡さなくてはならない。

例2:

助けてもらった人「助けていただきありがとうございます! お礼に何でも差し上げます!」

助けた人「ではあなたが家に戻ったとき見つけた、予期していなかったものをいただこう」

Law of Surpriseが発動。

助けてもらった人が帰宅する。

帰宅時、助けてもらった人が家にあるとは思っていなかったものが報酬となり、助けてくれた人に渡さなくてはならない。この場合、留守中に産まれた子、あるいは留守中にできた子が多いと言われている。


参考サイト:Witcher Wiki「Law of Surprise



ゲラルトとシリをつないだLaw of Surprise

ウィッチャー短編小説『The Last Wish』に収録されている「A Question of Price」では、2つのLaw of Surpriseが物語に絡んでいる。以下、短編のネタバレあります。

(「A Question of Price」の詳細は別記事「ゲラルトとシリの関係の始まり。ウィッチャー短編小説「A Question of Price」」にまとめた)

ひとつが、ゲラルトがシリを得るきっかけとなったもの。

ゲラルトはシントラでシリの父親にあたる男性ダニーの命を救い、「存在を認識していないが、すでに所持しているもの」を報酬として要求した。

ダニーはこのとき、妻となる女性パヴェッタが妊娠していることを知らなかったため、パヴェッタのお腹の中にいた子が報酬となる(ゲラルトはパヴェッタの妊娠に気づいていた)。

のちにシリと名付けられるダニーとパヴェッタの子供は、このLaw of Surpriseによってゲラルトに委ねられる運命となった。


なお、短編「A Question of Price」ではもうひとつLaw of Surpriseが登場する。

それはシリの母親パヴェッタがダニーと結婚するきっかけとなったものだ。

シリが産まれる15年前、ダニーは生前のシントラ国王ログネル(シリの祖父)の命を救った。

そのときダニーが報酬として要求したのはログネルが「予期せず家に残したもの」。

当時、ログネルの妻キャランセ(シリの祖母)は妊娠しており、ログネルは帰宅するまで子供の存在を知らなかった。

キャランセのお腹の中にいたパヴェッタはログネルが「予期せず家に残したもの」であり、Law of Surpriseによってダニーに与えられることになる。

そしてダニーとパヴェッタの子となるシリは、Law of Surpriseによってゲラルトに与えられることに・・・というように運命がつながっていく。実際はゲラルトがシリを引き取るまでに紆余曲折あるが、それはまた別の話。


それにしても、いくら相手が命の恩人だからって自分の子供をホイホイあげちゃうの? Law of Surpriseってそんなに大事なの? という感じなのだが、ウィッチャーの世界ではLaw of Surpriseは大いに尊重すべきものらしい。

Law of Surpriseを守って繁栄した者がいる一方、Law of Surpriseを破ったことで悲劇に見舞われた者がいるなど、Law of Surpriseを守るよう戒める言い伝えは多いのだそうだ。




「驚きの子」の由来もLaw of Surpriseか

ゲームの人物事典などで、シリは「ゲラルトの<驚きの子>」と書かれている。

驚きの子ってなに? とずっと思っていたのだが、Law of Surpriseでつながった子供のことを「Surprise child」と表現している英語サイトがいくつかあったので、シリがゲラルトの「驚きの子」なのはLaw of Surpriseでつながった子供だからなのかもしれない。



ウィッチャー作品にLaw of Surpriseは出てきている

Law of Surpriseはウィッチャーの世界では知らない者はいないような習慣なので、気づかなかっただけでゲームでもLaw of Surpriseが何度か出てきているのではないかと思う。


例えばランバートがウィッチャーになった理由はLaw of Surpriseに当てはまっている。

ランバートの父親は怪物に襲われたところをウィッチャーに助けられ、その報酬として「家に帰って最初に見たもの」を要求されて、それがランバートだった、というような話だった。

今ゲームをやり直したらいろいろ発見がありそう。


また、『The Last Wish』の次の短編小説『Sword of Destiny』では、Law of Surpriseによって再びゲラルトとシリがつながる話が出てくるらしい。

『Sword of Destiny』も読み終わり次第、感想を書きたいと思う。