【Clair Obscur: Expedition 33】エピローグの屋敷を散策し、姉妹の会話を振り返る(NG+プレイ記録9)
『Clair Obscur: Expedition 33(クレール・オブスキュール:エクスペディション33)』のニューゲーム+プレイ記録。
初見では気づかなかったあれこれを書いているので、ひと通りクリアしてストーリーを再確認したい方や、NG+プレイ中の独り言を読みたい方におすすめです。
今回の内容はエピローグについて。
ストーリー全域のネタバレあり。
屋敷から見えるエッフェル塔
私がヴェルソエンドで思ったことのひとつは、「こんなに真正面からエッフェル塔がどーんと見える家、ある?」ということだった。
まあ、フィクションだからなんとでもなると言えばそうだが。
エピローグの、ヴェルソが火事で燃える夢から覚めたアリシアの部屋からも、エッフェル塔が見える。
アリシアの部屋は、ACT1でマエルと再会した部屋から行けるが、この位置からエッフェル塔が見えるということは、エンディングに出てきた庭は玄関の先ではなく屋敷の横なのだろうか?
まあ、外の世界の情報がほとんどない状態で考えても何も分からないのだが。
ヴェルソの墓専用のキャンバスとかあったりして。
エピローグの屋敷
クレアに呼ばれてアトリエに向かう途中で、屋敷を少しだけ散策できる。
火事の被害は大きかったようだが、屋敷を見る限り、そこまで大きな損傷があるようには見えない。
キャンバスの外でも画家の力というものは発揮できるようで、どうやらルノワールやクレアがある程度は修復したようだ。
ダイニングホールには、家族それぞれの描いた絵が飾られている。
アリシアいわく、アリーンが壁にふさわしいと認めたアリシアの絵は、右下の小さな額縁の絵だけらしい。
(がんばって画像を拡大すると、アリシアの絵には屋敷の外観と思われるものが描かれている)
おそらくアリシアは絵に熱心ではなく、ヴェルソと違って親の期待に応えようとする努力もしていなかったのだろう。
額縁の大きさ=画家の実力ではないものの、こうして家族全員の作品が並ぶと、アリシアが画家として未熟あるいは成長途中なのが視覚的に伝わってくる。
暖炉のそばには、ノコとモノコIII世という名の2匹の犬がいる。
モノコIII世という名前から、過去にモノコとモノコII世がいたのだと考えられる。
マエルとモノコの交流が少ないのは、アリシアが初代モノコとあまり関わっていないからなのかもしれない。
暖炉の反対側には、クレアのハープとアリーンのピアノがある。
クレアがハープを演奏する姿は見る機会がないが、アリーンはモノリス内部で幼いヴェルソにピアノを教える姿があった。
アリシアがピアノを見て思い出すのはヴェルソの歌と演奏なので、ヴェルソもよくここでピアノを弾いていたのだろう。
ルノワールのアトリエで判明すること
ダイニングホールの奥に、ルノワールのアトリエがある。
ヴェルソのキャンバスの前には、キャンバスの中でケンカ中のアリーンとルノワールがいる。
このエピローグは、キャンバス内時間では16年前の出来事だが、実際には心配するほどの時間は経っていないらしい。
アリシアとヴェルソの姉、クレアが登場。
クレアとの会話でいろいろなことが判明する。
- キャンバスのヴェルソは、アリーンが自身の記憶をもとに描いたコピー
- アリーンは画家の評議会の議長
- アリーンはルノワールより腕がいい
- クレアはネヴロン製造機(偽クレアの描き直し)を置いてルノワールに手を貸した
- アリーンの力が弱まれば、ルノワールはアリーンの最古の創造物を消せる
- ただし、偽の家族は不死設定
- クレアはキャンバスに描かれた家族が不愉快で、役立たずだと考えている
→ だから終わりなき塔の影は、偽ヴェルソがマエルと一緒にアリーンを追い出したことに感心している - 作家はアリシアを利用し、今後も同じことをする可能性が高いが、クレアはヴェルソのように自分の人生と引き換えにアリシアを救うかは分からない
- その選択ができるヴェルソをクレアは愛しているし、憎んでもいる
- クレアはアリシアに期待していないが、手伝いたいならキャンバスに入ってルノワールを手伝ってと言う
→ 本当に期待していないのか、アリシアがキャンバスで楽しみたいなら楽しんでというスタンス - ヴェルソが死んだのは、アリシアが無邪気に何かしたから
- クレアは「唯一真の意味で終わらせるには、このキャンバスを壊すしかない」と考えている
ところで、ヴェルソとFF16のクライヴが同じ役者というのは以前触れたが、『バルダーズ・ゲート3』関連で言うと、アリシア/マエルがシャドウハートで、アリーンがジャヘイラで、クレアがレイゼルなんですね。
シエル役の人も、(名前を見ても顔を思い出せない)NPCを3人ほど演じている。
アトリエのクレア
アトリエにはルノワールの作品が飾られており、旧ルミエールで倒されていたアクソンの絵も見ることができる。
クレアをモデルにした、The Hauler(ハウラー)という名前のアクソンだ。
実際のアクソンの姿は、大陸から見るとこんな感じ。
街の一番上には、パリの凱旋門のような建築物が見える。
絵はその人の本質を描く、というのがデサンドル家の教えであり、このアクソンの絵はルノワールがクレアの本質をとらえたものなのだろう。
家族がヴェルソの死にとらわれている中、「必要なら一人で(作家と)戦うつもり」と覚悟しているクレアの責任感の強さをよく表しているのだと思う。
ただ、父親にこんな絵を描かれたら嬉しくないよなと。
本当はクレアはルノワールに手伝ってほしいわけで、それなのにルノワールはアリーンに付きっきりで、キャンバスにアクソンを創っている。
クレアの怒りはヴェルソを奪った作家だけでなく、両親にも向けられているように感じる。
アリシアはキャンバスを残したい
アリシアは自分のせいでこのような状況になったという思いから、「元に戻さなきゃ」とキャンバスに入る決意をする。
この「元に戻さなきゃ」とは何なのか。
もちろん、ルノワールとアリーンを元に戻すことなのだろう。
その一方で、またヴェルソに会えるかもという期待や、キャンバスで喉と顔を描き直して自由に話したいという希望も見え隠れする。
本当にアリシアがヴェルソの死を受け入れて、残った家族と現実問題に向き合う気があるのなら、キャンバスを隠すようなことをせず、壊すつもりでキャンバスに入ったはず。
何より、マエルとして生まれ、アリーンをキャンバスから追い出し、ルノワールがルミエール全人類を抹消したあと、アリシアはわざわざキャンバスに戻る必要はなかったのだ。
しかし、キャンバスの世界で16年生き、「外の世界のわたしの人生はないも同然」と考えるようになったアリシアは、ルミエールを復活させてキャンバスに残りたいと願う。
火事の前のように自由に話せて、ヴェルソと一緒にいられる。まるで何も起きなかったかのように。
それがアリシアの「元に戻す」を意味しているのではないか。
「キャンバスは隠したから母さんは二度と戻ってこられない」
「父さんは私に弱いからルミエールを直してくれる」
「わたしは母さんと違って、ここにいても自分を見失ったりしない」
アリシアのこうした、楽観的で子どもっぽさの残る思考が作家の襲撃を招いたのだろうなと思うし、ルノワールはそれが分かっているから、アリシアに危険が及ばないようキャンバスを手放すと説得しているのだろう。
ゲーム内では敵扱いのルノワールだが、言っていることは真っ当だった。
ヴェルソの魂の一部が残るキャンバスを、消さなくて済むならルノワールだってそうしたいはず。
しかし、生き残った家族の命のためであれば、つらい決断を下すのがルノワールだ。
偽ルノワールは偽ヴェルソを説得してキャンバスを守ろうとし、ルノワールはアリシアを説得してキャンバスを消そうとする。
ふたつの家族の鏡のような構図がおもしろいと思う。
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