【ハウス・オブ・ザ・ドラゴン】第10話「黒装の女王」感想。取り返しのつかないこと

ハウスオブザドラゴン シーズン1最終話感想 アイキャッチ

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の第10話「黒装の女王」を見た感想です。

ネタバレあります。

※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

第10話のざっくりあらすじ

シーズン1最終話! 今回はレイニラを中心に話が進む。

  • レイニスからヴィセーリスの訃報とエイゴン即位の話を聞きレイニラは産気づくが、死産となる。
  • レイニラはオットーからアリセントの和平案を受け取り、明日返事すると答える。
  • コアリーズの支持と艦体を手に入れたレイニラは、玉座奪還のための計画を練る。
  • バラシオン家に遣わされたルケアリーズ(ルーク)はエイモンドの挑発を受けアラックスで逃げるが、ヴァーガーがルークをアラックスごと食いちぎる。

クリフハンガーは壮大に

シーズン1を通していつ戦争が起きるのかとソワソワしていたけど、こうなったか。

「あのときああだったら争いは避けられたのに」はたくさんあった。

例えば、

  • ヴィセーリスが息子にこだわらず、さっさと娘を後継者に指名していれば
  • ヴィセーリスがアリセントではなくレーナ・ヴェラリオンと婚姻していれば
  • エイゴンが生まれたときに、レイニラに与えた継承権をヴィセーリスがなかったことにしていれば
  • レイニラとレーナーのあいだに子供ができていれば
  • ジェイスたちがハーウィンではなくレイニラの髪の色を受け継いでいれば
  • エイゴン、ジェイス、ルークがドラゴンのいないエイモンドをからかっていなければ
  • レイニラが病床のヴィセーリスに「氷と炎の歌は本当なの?」と聞かなければ
  • ヴィセーリスが死に際に「エイゴンを王に」なんてアリセントに言わなければ
  • エイモンドがルークを執拗に追いかけなければ ← New!

エイモンドにその気はなかったとはいえ、さすがにレイニラの息子をドラゴンで殺したのは次元の違うまずさで戦争不可避。

アリセントの寛大な和平案もレイニラの理性も水の泡で、レイニラが戦いをしかける十分な大義名分が立った。

エイモンドが目を失ったとき、アリセントはそっちの目もよこせと怒り狂った。

息子の命を奪われたレイニラは、氷と炎の歌の大義を見据えたままでいられるのか。

ルークの命の代償に何人の命が失われるのだろう。


「あー、ここでシーズン2まで待たなきゃいけないのか」というのが最大の感想。

第9話のエイゴン即位で終わってくれたらどんなによかったか(精神的に)。

強力な兵器も使い手次第

思いがけず起きたドラゴンどうしの戦いで何となく分かったのは、人間がドラゴンを制御することには限界があるということ。

エイモンド的にはちょっとルークをビビらせれば満足だったのかもしれないけど、ドラゴンにはそういう繊細な意図は通じなかったみたい。

やられたらやり返す。ドラゴン的にはたぶんそれだけの話。

ドラゴンに非はなく、よくなかったのは一線を越えたエイモンドのねちっこさ。

どんな強力な兵器でも、それが抑止になるのか威嚇になるのか破壊になるのかは、結局は使い手次第なのだ。

あと、大きいドラゴンはやっぱり強いのだなと。

ドラゴンの数ではレイニラたちが有利だけど、こうも1頭の格差があるとドラゴン所持数で優劣が決まるのか疑わしい。


ひょっとしたら食いちぎられたのはルークのドラゴンだけで、ルーク生存ワンチャンあるか?

と思ったけど、公式キャラクターガイド「Targaryen Family Tree」のルークのところに真っ赤な文字でDECEASEDと書かれていたので、ワンチャンの希望は打ち砕かれた。

まあ仮にちぎられていなくてもあの高さではね。

10話の冒頭、ルークはドリフトマークを背負うことの不安を打ち明け、それに対しレイニラが「運命は選ぶのではなく授かるもの」と声をかけていた。

………完膚なき弱肉強食の運命で気の毒だよ。

母であり女王であること

シーズン1だけで出産シーンが4回。

ただ今回は、出産適齢期の女性が統治者になることの大変さをひしひしと感じた。

世継ぎを産みつつ国土の平和を保たなくてはならない。

そして、ただでさえストレスを受けやすい立場な上に、妊娠も出産も心身への負担が大きい。

予期せぬタイミングで出産が訪れる可能性もあるし、それが安産だとは限らない。

レイニラのお腹の子は死んでいたので、レイニラもエイマやレーナのように助からない可能性があった。

だけどレイニラは産褥という戦場で勝つ。

自分が死ねば自分たちの陣営がさらなる混乱に陥ること、王都との戦争が避けられなくなることを、重々承知していたから。

戦になるかならないかの瀬戸際で、指導者として争いが起きないよう配下に適切な指示を与えなくてはならない。なのに、自身はまずお産を生き延びねばならない。

王の資質以前に、生物学的に女性統治者が直面する壁が本当に大きいなと思った。

ただ、その困難な局面で理性を保てたからこそレイニスおよびコアリーズの支持と艦体を得たとも言える。

(で、レイニラが無事できっとデイモンは心底ほっとしたことだろう、と思ったのに、レイニラの頭に王冠を載せて「我が女王」とひざまずいた直後にレイニラと意見が合わなくてレイニラの首を絞めるデイモンよ。こんな弟にヴィセーリスが氷と炎の歌のことを伝えるわけがない)


それにしても1エピソードで子を2人失うとは、レイニラに課せられた試練はなんと過酷なのか。

死産した子はキャラクターガイドのVisenyaという名前を見る限り娘かな。

その子は弔えたけど、ルークはきっと肉体が見つからなくてきちんと弔えないだろう。

おわりに

コアリーズが生きていたので、第8話から私の中で始まったコアリーズ公の幸せを願う会は続くらしい。

とりあえずステップストーンズでの長い戦いが報われたのは朗報。

自分のよりどころしか考えていなかったところがレーナーそっくりで笑った。


シーズン1は陰謀と策略に満ちたファミリードラマで大変おもしろかったです。

『ゲーム・オブ・スローンズ』のほうが群像劇で舞台が各地に広がっていて主要キャラがばんばん運命に振り回されていて個人的には好みだけど、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は人々の思惑がぎゅうぎゅうに詰め込まれていてこれはこれで楽しい。

シーズン2も期待大で待っています。


関連記事

Next Post Previous Post