Netflix『聖闘士星矢: Knights of the Zodiac』S1感想と瞬の性別変更に思ったこと


聖闘士星矢は大学生のときにふと思い立って漫画を全巻そろえ、熱量満載のキャラクター、気合いで進むストーリー、盛大な見開きコマにすっかり魅了され、2016年には秋葉原で開催された聖闘士星矢30周年展にも行ったくらいには好きな作品だ。

Netflixオリジナル作品『聖闘士星矢: Knights of the Zodiac』も、事前情報に不安を抱きつつも楽しみにしていた。

この記事では、2019年7月19日に配信されたシーズン1の第1話から第6話までの簡単なあらすじ・感想と、アンドロメダ瞬の性別が変更されたことについて考えたことを述べたい。

※以下、聖闘士星矢作品に関するネタバレが含まれています





シーズン1(1~6話まで)のあらすじと一言感想

エピソード1

  • 幼い星矢の前で姉・星華がアイオリアに連れて行かれる
  • 12歳の星矢は街でチンピラにからまれ、不思議な力に目覚める
  • 星矢は城戸光政から、アテナを守るペガサスの聖闘士の話を聞く
  • 城戸光政の旧友グラードが光政を襲い、星矢は城戸沙織と脱出する

原作との違いを逐一挙げるとキリがないくらい様変わりしているが、設定面での大きな違いを挙げると、星矢たちが城戸光政の実子という設定がまるっとなくなっている。

全世界の子供が見られるように配慮しているためか、倫理的にあやうい内容は改変されているようだ。

あと、沙織は星矢より3歳年上という設定になっている模様。

終盤で、沙織と辰巳からペガサスだからという理由で星矢がパラシュートなしでヘリから飛び降りることになるシーンは笑った。


エピソード2

  • 星矢は魔鈴のもとで6年修行し、カシオスを倒してペガサスの聖衣(クロス)を手に入れる
  • 星矢は報復で襲いかかってきたシャイナを倒す
  • 魔鈴から参加するよう言われた秘密のトーナメントは、城戸沙織が主催する銀河戦争(ギャラクシアンウォーズ)だった
  • 優勝賞品の黄金聖衣(ゴールドクロス)をかけた聖闘士たちの戦いが始まり、星矢はベアー檄に、氷河はヒドラ市に勝利する

Netflix版では女聖闘士の仮面の掟は存在しないことになっているようで、シャイナは素顔のまま登場する。素顔といっても濃いめのヘビメタメイク状態。

じゃあ魔鈴はなぜ仮面を? と疑問がわくのだけど、もしかしてNetflix版は魔鈴さん=星矢の姉さんという方向なのかな、と予想してみる。

クロスがドッグタグに変形して持ち運びがラクになったのは機能的でいいなと思った。


エピソード3

  • 氷河が聖域(サンクチュアリ)からの命令でアテナを殺そうとするが、アテナの説得で思いとどまる
  • 星矢と紫龍の激闘
  • 紫龍に勝利した星矢は、心臓が止まった紫龍を蘇生する

氷河が海底の難破船(豪華客船)にいるお母さんに「マーマ」と言うのは吹替版だけで、英語音声では特に何も言っていない。何も知らない人が見たら氷河のお姉さんか恋人かと思ってしまいそう。


エピソード4

  • 瞬がユニコーン邪武に勝利
  • グラードの軍隊が沙織の命とゴールドクロスを狙う
  • 星矢、紫龍、瞬、氷河は軍隊を撃退して沙織を逃がす
  • 瞬の兄・一輝が現れる

戦車と戦闘ヘリを圧倒する青銅聖闘士が見られる貴重な機会。わざわざグラードという原作にないキャラクターを作ったのって、聖闘士を戦闘機と戦わせたいだけだったりしてね。


エピソード5

  • ゴールドクロスが一輝に奪われる
  • 氷河の口から沙織がアテナの生まれ変わりであること、サンクチュアリの教皇がアテナ暗殺を目論んでいることが語られる
  • 星矢、紫龍、瞬、氷河は沙織に忠誠を誓う
  • 星矢たちは一輝を追って洞窟に入り、暗黒聖闘士(ブラックセイント)と戦う

氷河が止めなければ沙織さんは自分で一輝からゴールドクロスを取り返すつもりだったんだよね。沙織さんが行ってたら秒で解決してそう。


エピソード6

  • 瞬は戦いをやめるよう一輝を説得する
  • 一輝は自ら放った鳳凰幻魔拳を食らい、憎しみの力でクロスを手に入れたことを思い出す
  • 星矢は仲間の協力で一輝を倒す
  • 山が崩れ落ち、一輝とゴールドクロスを置いて星矢たちは脱出する

白銀聖闘士編に続く、という形で終了。

一輝とエスメラルダの会話は字幕と吹替でずいぶんと異なっている。英語版だと一輝の師匠はエスメラルダの父親となっているが、吹き替えではそのあたりのセリフが大幅に変更されていた。

一輝が鳳凰幻魔拳を氷河にマホカンタされるところは爆笑した。せっかく一輝が初めて技を披露したのに。



瞬が女性に変わったことについて

Netflix版聖闘士星矢の脚本担当者が自分の判断で瞬を女性に変えたという話を最初に聞いたときはショックだった。

瞬はステレオタイプな男らしさにとらわれず、やさしくて、「地上でもっとも清らかな心の持ち主」である少年、という設定がよかったのに。あと一輝兄さんが事あるごとに「妹」じゃなくて「弟」のピンチに現れるのが斬新でよかったのに。

でもNetflixが重点を置くターゲットは原作ファンよりむしろ、聖闘士星矢を見たことがない子供やファミリーなのかもしれないと考えると、この設定を制作側が推し進めた理由は察することができる。

聖闘士星矢のメインキャラが5人とも少年だと、活躍できるのは少年だけという価値観を視聴者に与えかねないため、もっと男女平等やポリティカル・コレクトネスを重視した作品にしたいとNetflixが判断した可能性がある。

Netflixは若者の喫煙習慣を増長しないよう、オリジナル作品から喫煙シーンを減らす方針を明らかにしたような会社だ。映像作品が若者に与える影響を強く意識し、警戒していると考えられる。

とはいえメインキャラには沙織もいるし、瞬だけ少女に変えてもブロンズの男女比は4:1でアンバランスだし、12人いる黄金聖闘士にいたっては全員男性で、瞬の法則でいくと最低でも2人は女性にしないといけないじゃないかとか、疑問は尽きない。

疑問が尽きなかったので、どの黄金聖闘士なら女性に変えても作品が破綻しないだろうかと真剣に考えたほどだ(結論→前科のあるミロ、意外性を狙ってアルデバラン。でも瞬が性別変えられたからアフロディーテもあやしいんじゃなかろうか。とりあえず6話までに登場したアイオリア、ムウ、シャカは原作どおりだ。


話を戻すと、いろいろ思うことはあるが私はNetflix版はこういうものだと受け入れることにした。

『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』だってキャラクターの見た目も性格もずいぶんイメージと違ったが、あれはあれで楽しめた。

いろんな聖闘士星矢作品がそれぞれ独自のターゲットを狙った世界を構築して、いろんな人に愛されればいいではないか。

Netflix版の登場で聖闘士星矢ファンが世界規模でさらに増えるなら、原作ファンとしては喜ばしいことではないか。

そう思うことにした。


それでも実際にNetflix版の瞬を見て、やっぱり残念に感じた点は述べておきたい。それはキャラが一貫していないことだ。

Netflix版の瞬はハキハキしゃべる活発な少女で、これが戦いを好まない性格と全然釣り合わない。昔は泣き虫でいじめられていて、一輝からも惰弱で泣き虫と非難されるのだが、普段が勝ち気な雰囲気なのでそうは見えず、引っかかりを感じる。

6話で一輝を止める場面でも瞬は「兄さんの憎しみが消えるなら殺されても構わない」と自己犠牲で解決しようとするが、この瞬なら「兄さんの根性はあたしがたたき直してやる!」くらい言ってほしくなるのだ。

原作の瞬を性格そのままに女性に変えると可憐な少女になってしまうから口調だけ快活にしたのかもしれない。しかしほかの要素は変わらないため、キャラクターの矛盾を招いているように思えてしまう。

女性のメインキャラを入れたかったなら、セインティア翔レベルでまるごと新しいキャラクターを作ったほうが安心して見られた気がする。

まあ、考えすぎなだけかもしれないし、慣れたら何とも思わなくなるかもしれないが。

聖闘士星矢をまったく知らない人が見たら、違和感なく鑑賞できるだろうなとは思った。



まとめ

Netflix版の聖闘士星矢について、瞬に関しては複雑な気持ちだが、設定の違いをいつまでも気にするほど深いストーリー性があるようには今のところ見えないので、深く考えず楽しむのがベストだと思っている。

なんだかんだ言って聖闘士星矢は好きなので、次の配信が待ち遠しい。

>>【Netflix版聖闘士星矢】S1の7話感想。ムウ暇人疑惑と理想の部下ミスティ


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