【Banishers: Ghosts of New Eden】恋人を蘇らせるか正義を貫くか。消霊師RPGの感想
『Life Is Strange』を開発したDON'T NOD社が手がけた、『ウィッチャー3』のようなアクションRPG……
そう聞いてプレイしてみた『Banishers: Ghosts of New Eden』(日本語タイトル『消霊師:ニューエデンの亡霊』)。
たしかにアクションやマップ構成、倫理的に迷う選択には『ウィッチャー3』を思わせる部分もあるが、『ウィッチャー3』ほどの壮大さ複雑さはないので、比較するのはやや過剰というのが正直な印象。
ただ、イギリスによるアメリカ大陸の植民地化時代を舞台に、生者と死者のつながり、ゆがんだ正義が招いた悲劇、そして他者の命をどう扱うかという倫理的な葛藤をコンパクトに描いたストーリーは興味深く楽しめた。
フルプライスで買うほどではないかもしれないが、セールやフリープレイで見かけたら試してみてもいいと思う。
ストーリーの紹介
舞台は17世紀の架空の入植地ニューエデンタウン。
亡霊を浄化する「消霊師」として活動する師弟であり恋人同士のアンテアとレッドは、友人に助けを求められてニューエデンタウンへ向かう。
しかし街は亡霊に取り憑かれ、呪われていた。そんな中でアンテアが命を落とすが、残されたレッドは霊となって戻ったアンテアと共に呪いの原因を探っていく。
同時にレッドは、消霊師として愛する人を昇天させるのか、それとも正義に背いて恋人を蘇らせるのか、という重大な選択を迫られる。
舞台はアメリカだが、登場するNPCの多くはイギリスからの入植者である。
ニューエデンタウンの呪いの真相が少しずつ明らかになる展開に加え、入植者と先住民、主人と奴隷、イギリスと敵対するフランスとの関係など、複雑な人間関係も物語を彩っている。
レッドがスコットランド出身なので、スコティッシュアクセントが好きな人には無条件でおすすめ。
ゲーム性とトロコン難易度
戦闘は、レッドの能力を強化しつつアンテアの霊能力を組み合わせて戦うアクション。
敵のモーションを見極めてしっかり回避しないとゴリゴリ体力を削られるが、一番下の難易度にすればあまり深く考えずにストレスなく進められる。
敵にあわせてレッドとアンテアを切り替えるという戦略性はあるものの、似たような戦闘が続くので単調さは感じる。
戦闘から逃げることもできず、実績のためにマップを行き来する終盤は面倒に感じる部分もあった。
ただ、ボス戦にはストーリー展開を反映した演出があって凝っている。
実績・トロフィーのコンプリートは、時間をかければ達成できるタイプだ。
難易度制限はなく、進行不能ポイント前にサイドクエストや収集要素をこなせば問題ない。
メインストーリーよりも探索やサイドクエストの量が多く、さらに選択によって分岐するエンディング2種類が実績条件になっているため、実質2周のプレイが必要になる。
私の場合はトロコンまで100時間ほどかかった。
決断の重みと構造上の制約
このゲームの魅力は、アンテアを昇天させるか蘇らせるか、その選択によってコミュニティの状況やレッドの心理が大きく変化する点だ。
消霊師の使命は、未練を残し生者に取り憑く亡霊を消すこと。ニューエデンの亡霊だけでなく、いずれはアンテアも昇天させなければならない。
物語が進むほど、アンテアと永遠に別れる不安や孤独がレッドを蝕み、その心の揺れが静かににじみ出る。
一方で、アンテアを蘇らせたい場合は生きた人間を殺さなければならない。
愛する者のために他者の命を奪うという行為は、消霊師としての正義に反する行為だ。
スコットランド訛りのナイスガイなレッドが、「君のためなら何でもする」と覚悟を決め、生者を次々と消していく姿は、プレイヤーにほんのりと罪悪感を抱かせる。
でも個人的には、蘇りルートのエンディングのほうが好み。
ただし、物語の根幹となるこの選択が、その後のすべての選択を縛りがちになる点が残念で、そこがウィッチャーに比べると物足りなさのあるところ。
アンテアを昇天させたいなら亡霊を消す選択、蘇らせたいなら生きた住人を消す選択をしないと望んだエンディングを迎えられないつくりになっており、NPCごとの事情に応じて自由に選択をするような遊び方がしづらい。してもいいのだが。
ローカライズの質が惜しい
このゲーム最大の難点は、ローカライズの質。
海外ゲームではよくあることだが、日本語字幕が音声の途中でブツ切り改行されており、最後まで読まないと意味が通じにくいセリフが多い。
誤訳や不自然な日本語も散見され、日本語表現がもう少し整っていれば日本でももっと話題になったかもしれないと思う。
おわりに
トロコンのために2周したが、探索や移動に飽きがきても、ストーリーや人間関係の描写は最後まで惹きつけられた。
派手さはないが、静かに感情を揺さぶる物語を味わえる作品だ。
人と人の関係性を重視した物語や、イギリスのアメリカ植民地化の時代に興味のある人におすすめできる。
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