スコットランド英語のリスニング勉強方法を英検1級合格者が考えてみた

エジンバラの写真

スコットランドの英語と言えば、イギリス人でも分からないという独特のなまりで有名です。私の英語力は英検1級合格レベルですが、2年前にエディンバラでホテルの人の言っていることが全く分からずショックを受けた記憶があります。

そして今年6月はインヴァネス旅行。せっかくだから行く前にスコットランド英語のリスニングを勉強しようと思い立ちました。同じスコットランドでも地域によってなまりが違うと聞くけど、Scottish accentでざっくり勉強すれば何とかなるだろうと取り組みました。

というわけで私が試してみた、誰でも簡単にお金をかけずに取り組める、スコットランド英語のリスニング強化手順をまとめました。

勉強の流れ

私が実践した勉強方法は以下の通り。

1.動画でスコットランド英語をとりあえず聞いてみる
2.動画やPodcastでスコットランド英語の特徴を学ぶ
3.スコットランドのコメディを見てアクセントや単語に慣れる

それでは詳しく解説していきます。

1.動画でスコットランド英語をとりあえず聞いてみる

まずはスコットランド英語がどんなものか、手っ取り早く確認できる動画がこちら。



グラスゴー在住経験のある友達に「インヴァネス行くからスコッティッシュイングリッシュの勉強しなきゃ」と言ったら送られてきたものです。

アメリカ映画で有名な俳優、ジェラルド・バトラーがバリバリのスコットランド英語(グラスゴーなまり)でスコットランドのスラングを説明しているのが面白いんだそう。

初めて見た時は何言ってるのかさっぱり分かりませんでした。10回くらい見続けてようやく何となーく話がつかめるようになった気になりましたが、それにしても聞き取りにくい。

でも、2と3のステップを経た後に見直したらだいぶ聞き取れるようになりました。

2.PodcastやYouTubeでスコットランド英語の特徴を学ぶ

なぜスコットランド英語が聞き取りにくいのか、それは主に独特の発音やアクセントにあります。ポッドキャストや動画でその特徴を何となくつかんでいきます。

「Luke's ENGLISH Podcast」のスコットランド回

個人的に気に入っているイギリス英語学習ポッドキャストです。今や500を超えるエピソードが配信されていますが、初期の方にスコットランド英語を扱ったエピソードが2つあります。

58. Scotland / Scottish Accents (with Leslie)
スコットランド出身の女性を交えて、スコットランド英語の概要や基本的なアクセントの特徴を解説してくれる。

59. Billy Connolly Interview / Scottish Accent
スコットランド人出演のコメディを使ってアクセントの特徴を解説してくれる。他にも、テレビドラマをどう英語学習に活用するかのアドバイスあり。


時間がなければエピソード58だけ聞けば十分ですが、59も継続的に英語を学ぶ上で参考になる情報が聞けるのでおすすめです。

Youtubeのスコットランド英語関係の動画

「scottish accent」や「scottish english」で検索すると関連動画がわんさかでてきます。まじめな動画からネタ動画までいろいろあるので、勉強目的で見るなら語学学習に特化してそうなものとかインタビューとかまじめそうなものを選ぶといいです。

スコットランド英語初心者に参考になるのがこちら。



標準のイギリス英語とグラスゴー英語を比較している動画です。発音記号ごとに例文つきで特徴を説明しているので、雰囲気をつかむのに向いています。

このステップで学べること

下記のような、スコットランド英語の特徴が少し分かってきます。

  • 「r」の発音は巻く感じになる
  • 「a」の発音を伸ばさない(イギリスだと「bath」「laugh」は「バース」「ラーフ」と発音するが、スコットランドでは「バス」「ラフ」と発音する)
  • 「about」とかの「ou」の発音は「オウ」になる(通常「アバウ」と聞こえるのが「アボウ」って聞こえる)
  • 「Yes」を「Aye」と言うとか、使う単語が違う

ここでは「そういうものか」程度で大丈夫です。たくさんスコットランド英語を聞くうちに自然と覚えていきます。

3.スコットランドのコメディを見てアクセントや単語に慣れる

スコットランドの映像作品を見てスコットランド英語にたくさん触れます。その際に使うのは英語字幕またはスクリプト(セリフの書き起こし)です。実際の音声と見比べることで、単語や文章単位での発音に慣れることができます。

勉強の流れ

1.教材にする作品を決める(この後に3つ紹介)
2.とりあえず1エピソード見る
3.英語字幕かスクリプトを読みながら見る
4.気に入ったシーンやセリフがある場面、あるいは「この会話、実際に使いそう」と思った場面で3を繰り返す
5.次のエピソードからは3と4を繰り返す

候補がいくつかある時は1と2を逆にしてもOKです。あくまでリスニングを鍛えることが目的なので、ささっと次に進んでたくさん見ることに重点を置きます。

教材にする作品を紹介

見やすさという観点で、映画ではなくコメディショーをおすすめします。『Burnistoun』『Limmys show』『Still Game』という3つの番組を紹介しますが、全部見るのではなく「このノリは嫌いじゃない」「このシーン面白い」と思った作品を繰り返し見るのが効果的です。

Burnistoun
グラスゴー周辺にある架空の街、バーニストンを舞台にしたスコットランドのコメディ番組。1話30分で、3分くらいのくだらない寸劇が延々と続くスタイル。単発のコントが多いのと、何を言っているのか分からなくても笑えるネタがあるため見やすい。シチュエーションが友達同士、家族、オフィス、ニュースと豊富で、いろいろな場面での日常会話を聞くことができる。下ネタも多い。

Limmys show
Brian Limondというスコットランドのコメディアンが監督・脚本・主演を務めるコメディ番組。1話30分で、単発の寸劇が続くスタイル。個人的にはノリが合わなかった。

Still Game
グラスゴーで年金生活を送る2人の男の日常を描くスコットランドのシットコム。1話30分。話がどんどん進んでしまうので、一度ついて行けなくなるときつい。3つの中では下ネタが一番少ない気がする。

(2020/10/21追記:以前はスクリプトがネットで見られたのですが、今は見られなくなっていました)


私が気に入っていたのが『Burnistoun』だというのが一目で分かる紹介文ですね。実際こればかり見ていましたが、勉強方法はどの作品でも同じです。

3作品ともYoutubeで「作品名+season1」のように検索すると出てくると思います。スクリプトは上記リンク先のものを使います。YouTubeに英語字幕を自動で付ける機能がありますが、スコットランド英語が独特すぎて原音と全然違う単語になることが多々あるので当てになりません。

また、イギリス在住・旅行中の場合はNetflixで視聴可能です。Netflixだと英語字幕がつけられるので便利です。

このステップでの効果

どの作品も最初のうちは字幕がないと何言ってるか分かりません。動画とスクリプトを見比べることで「この発音でこんなこと言ってるのか」と確認することができ、6話くらいしっかり見るとスコットランド英語の特徴が身について耳も慣れてきます

また、見慣れないけどよく出てくるなと思った単語はネットで調べてみてください。スコットランド独自の言葉だったりします(wee、lassieなど。後ろにscottishとつけて検索すると早い)。

余談

『Burnistoun』で有名なのが"Voice recognition elevator"という、音声認識エレベーターにスコットランド英語が通じなくて閉じ込められるというコントです。シーズン1の第1話の最後にあります。



勉強の成果はどうだったか

インヴァネスに行くまでの3週間、上記の勉強をしました。最初のジェラルド・バトラーの動画がだいぶ聞き取りやすくなったので、リスニング力は上がったと思います。

実際インヴァネスに行ってどうだったかというと…インヴァネスの英語はきれいでした。

発音がやわらかくて流れるようで、なまりは全然強くなかったです。私の住んでいるバーミンガムより断然聞き取りやすくて衝撃。

しかし、比較的なまりが強かったバスツアーのガイドさんの発音は勉強していたおかげで苦労せず聞き取ることができたと思います。

「r」の発音、「about」の「ou」の発音などははっきりと特徴が出ていました。

何事にも個人差はありますが、『Burnistoun』レベルに慣れておけばスコットランド英語の難易度はぐっと下がると思います。

1つの勉強方法として参考になれば幸いです。


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