【ニミュエ 選ばれし少女】シーズン1感想。剣と魔法とアーサー王伝説のドラマ

2020/08/29

ネットフリックス 海外ドラマ

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Netflixオリジナルドラマ「ニミュエ 選ばれし少女」シーズン1の感想です。


途中からストーリーのネタバレに触れます。


「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ウィッチャー」のように第1話から夢中になるということはありませんでしたが、徐々におもしろくなってきて今ではシーズン2が待ち遠しいです。



「ニミュエ 選ばれし少女」の概要

「ニミュエ 選ばれし少女」は、アーサー王伝説が元になっているファンタジードラマ。


シーズン1では、フェイと呼ばれる非人間族の女性ニミュエが力の剣を手に入れ、一族を守るために奮闘し、剣を狙うウーサー王や氷の王、キリスト教団と対立する。


私はアーサー王伝説に詳しくないが、「ニミュエ 選ばれし少女」のアーサーはウーサー・ペンドラゴンの息子ではないし、ガウェインはアーサーの甥ではないし、アーサー王伝説の設定がそのまま使われているわけではなさそう。


そういう意味では、アーサー王を全然知らない人もアーサー王ブームのただ中にいる人も、ファンタジーが好きなら楽しめるのではないかと思う。


シーズン1は全10話で、1話あたり約55分。


原作がティーン向けの本なのでティーン向けドラマとなっているが、血しぶきは激しく飛ぶし、首もスパンと飛ぶ。性描写は少なく、女性が肌をほとんど露出しない代わりにアーサーが積極的に脱ぎます。


おもしろいのはシーズン後半から

実は最初の数話はそんなに面白くないなと思いながら見ていた。


ニミュエは短気だし、アーサーは小悪党だし、マーリンは飲んだくれだし、キャラクターのダメなところが目立ってこっちがイライラすることもしばしば。


ただ、5話でアーサーが改心してどんどん誠実さと有能さを現していくあたりから落ち着いて見られるようになった。


その頃には剣を狙う勢力どうしの腹の探り合いが激しくなるし、緊張感のある戦闘シーンも増えていく。


円卓の騎士の名前を持つキャラクターが出てくるのもシーズン後半に集中しており、あらゆる面でドラマが盛り上がるのは6話以降だと思う。


一番おもしろいのは10話だが、10話だけイベントが詰め込まれすぎていて慌ただしく感じた。


以下、ストーリーのネタバレあり。


一番注目したのはキャラクターの変化

シーズン1で印象的だったのは登場人物が劇的に変わっていったこと。


特にニミュエ、モルガナ、アイリスの3人の変わり様はすさまじいの一言に尽きる。


ニミュエ

村で魔女と忌み嫌われていたニミュエは、強い魔力と力の剣のコンボでフェイの救世主に。


両親が有能なので生まれた時から高い能力を持っていたことに加え、力の剣を手に入れたことでチートに拍車がかかる。


最初は力の制御ができなかったが、マーリンに力の使い方を数分間教わっただけで自在に力を操れるようになり、魔法が使える限り無双状態になる。たった数話でこの進化。


それまで人を導く経験などなかったにもかかわらず、フェイの女王になった直後から立派な演説を披露し、グラメアー奪還後は女王としての貫禄をメキメキとつける。


あらゆる成長が早すぎるように感じるが、持って生まれた才能と力の剣の影響なのだろう。


シーズン前半のニミュエは母の遺言に翻弄されているように見えた。しかし、フェイの女王になってからは種族を守りたいという強い信念で動くようになり、自分の命や恋人との時間よりも種族を優先するまでに。


とにかくニミュエは第1話から猛スピードで進化を遂げるキャラだった。


モルガナ

ニミュエに協力していたらカリアッハにちょっと乗っ取られて、その上やもめにもなってしまうという想定外の方向に巻きこまれた元修道女。


カリアッハとやもめは別カテゴリーだと思うが、共存できるものなのか。


セリア経由のカリアッハの伝言によると、モルガナが最強の魔術師になって、モルガナが剣の持ち主を決めるということになる。


果たして実現するのか、非常に気になる。


アイリス

強すぎる信仰心から放火魔になり、アサシンクリードと化した元修道女。


10話の演出からして、ニミュエと対をなす存在になりそう。


ニミュエやモルガナの変化は外的要因が大きいのに対し、アイリスは己の努力のみで怒濤の変化を遂げたのが特徴。


弓も触ったことなかった子がたった数話でニミュエに2発の矢を命中させるまでになったあたり、人間にしては進化が早すぎるだろと思わないでもないが、きっと人知れず鬼のように修行していたのだろう。


最初はなぜアイリスはニミュエに執着するのだろう、と思いながら見ていたが、アイリスは別にニミュエ個人がどうとかではなく、赤の騎士に入る条件としてニミュエを追っていたのと、キリスト教団がフェイを悪魔と見なして駆逐を進めているから無条件にそれに従っているのだなと認識した。


アイリスの変化に圧倒される一方で、他者を顧みない態度にイラッとすることもあったので、何がアイリスの人格に影響を与えたのか分かるようなエピソードがシーズン2以降で描かれるといいなと思う。


ピム、スクイレル、泣き顔の修道士

メインどころの女性キャラクターが軒並み劇的変化を遂げて、残すところはピムなわけだが、ピムはあのまま素朴な感じでいてほしいなと勝手に思う。


スクイレルと泣き顔の修道士はきっと次のシーズンから活躍の場を広げると期待。正直なところ、ニミュエよりこの2人の今後のほうがよっぽど気になる。



その他の感想

  • 強い魔力を持つ少女が身内の遺言で会ったことない男性を探すことになる、という第1話の展開が「ウィッチャー」のシリに激似だと真っ先に思った。
  • ウーサー王がヒステリックに話すたびに笑ってしまう。
  • パーシバルの名前が出てきたあたりで「あいつがランスロットなのでは…」と予想していたらやっぱりそうだった。本名が明かされていないキャラクターは有名な名前がついている可能性が高く、レッドスピアがグィネヴィアだったりしてと10話を見て想像した。
  • ガウェインは生き返るに一票。じゃないとあのナウシカみたいな演出の意味がないし、ニミュエがマーリンのもとでリンゴの木を復活させたシーンは死者を復活させるための伏線だと信じる。


気になったのは邦題

これは小言と言って差し支えない話になるが、作品そのものではなく邦題の「ニミュエ 選ばれし少女」に対して思ったことを述べたい。


ドラマの原題は「Cursed」。


本作で呪われしもの代表といえば力の剣だし、泣き顔の修道士も自分のことを呪われていると言っているし、「Cursed」が指すものはおそらくニミュエだけではない。


かといってタイトルが「呪われしもの」だとインパクトに欠けるので仕方ないのかもしれないが、邦題で「ニミュエ」だけを全面に押し出すのは原題の趣旨とはズレるのではないかと思った(映画の邦題とかそんなのばっかりなので、いちいち気にしていたらキリがないけど)。


そして、ニミュエは「少女」と呼んでいいのか問題が私の中で浮上している。


ニミュエはIMDbの作品紹介で「A teenage sorceress」と書かれているのと、ニミュエを演じるキャサリン・ラングフォードが1996年生まれ(2020年時点で24歳)であることを踏まえ、18~19歳くらいだと私は考える。


18~19歳ならギリギリ少女に入るかもしれないが、少女という単語から連想するのはもう少し若い年齢だと思うので、邦題で「選ばれし少女」と言われてしまうと少しイメージと異なる気がする。


作中で何度か「fey girl」と出てきたが、girlは「若い女性」という意味で使われることもあるので、ニミュエ=少女だという決定打にはならない。


字幕ではそのまま「フェイの少女」になっていたが、吹替版ではニミュエの年齢が意識されているのか「フェイの娘」と訳されていた。


もしストーリーが年単位で進んでニミュエがアラサーになったら、それでもタイトルは「選ばれし少女」のままなのだろうか、と誰にも頼まれていない余計な心配をしている。


ニミュエを見ている間に読んだアーサー王関連本

「ニミュエ」を見ている間に、少しでもアーサー王伝説の知識をつけようと『いかにしてアーサー王は日本で受容されサブカルチャー界に君臨したか: 変容する中世騎士道物語』を読んだ。


アーサー王伝説が日本の小説、漫画、ゲームなどの幅広いジャンルにいかにして浸透していったかという趣旨の本だが、アーサー王物語の成り立ち、主要人物、有名なエピソードの解説もあり、ドラマの時代背景や各キャラの役割を考察するのに役立った。


個人的には日本で最初にアーサー王を題材にした小説を書いたのが夏目漱石だったことや、アーサー王伝説の騎士道精神がドラクエXIで独特の描かれ方をしていることが興味深く、内容がもはや論文でとても読み応えがあった。



おわりに

「ニミュエ 選ばれし少女」のシーズン1はニミュエを始めとした一部のキャラクターの変化に圧倒されて終わりましたが、個々のキャラクターの今後の動向や剣をめぐる覇権争い、フェイ族の運命など、先が気になる要素は多いです。


「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ウィッチャー」とは雰囲気の異なるファンタジー作品が登場したことはうれしく、次のシーズンを楽しみに待ちたいと思います。


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