【The Sinner -隠された理由-】シーズン3感想。ついにハリーの理解者が現れた?

2020/07/03

ネットフリックス 海外ドラマ

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「The Sinner -隠された理由-」シーズン3をNetflixで鑑賞したので、感想をまとめました。

途中からネタバレあり。


ドラマの概要

「The Sinner -隠された理由-」はニューヨーク州の架空の町ドーチェスターの刑事、ハリー・アンブローズを主人公としたミステリー作品。

各シーズン8話で構成され、1話あたり45分ほど。

1つのシーズンを通して1つの事件を扱い、ハリーと同じくらい犯人に焦点を当てるのがシリーズの大きな特徴。

各シーズンのつながりは薄いので、どのシーズンから見ても楽しめる構成になっている。

実際、私が最初に見たのはシーズン2で、その後シーズン1を見たが全く支障はなかった。


「The Sinner」を見たことない人がシーズン3から見始めても問題ないと思う。

シーズン3を雑にまとめると、ニーチェ厨の友人に影響されたイケメン高校教師(マット・ボマー)が大変なことになる話。

シーズン1と2ほど気が滅入る要素はないものの、胸くそ悪くなるシーンはある。

でもおもしろい。

以下、ネタバレありの感想。


ジェイミーの抱いていた疑問

ジェイミーの心には「自分の存在意義とは何か」という疑問がつきまとっていた。

「自分の存在意義も分からないのに子供を生むのか。子供に教えられるのは人は必ず死ぬということだけ。なぜ子供にそんなことをするんだ?」

と、ジェイミーは出産を間近に控えた妻リーラに話す。

そういうことは子供ができる前に言えよと盛大に突っ込みたいところだが、人は死ぬという運命がジェイミーに不安を与えていたことは確か。

ジェイミーは仕事も家庭も順調な白人男性。

しかし、平凡な白人の子持ち男性の人生でいいのかと疑問を抱いたジェイミーは、大学時代の友人ニックと会うことに。

ニックはニーチェに影響を受け、ニーチェの思想を都合のいいように解釈し、他人より優れた人生を得るためには死と向き合い、行動に伴う結果を恐れてはならないと主張する。

ニックの危険な思想はニックの死んだ後にもじわじわとジェイミーに浸透していき、ジェイミーは学校の生徒やハリーに自分の(というよりニックの?)思想を語るようになる。

自分の存在意義を求めてニックに頼るジェイミーの心理は理解できないが、「自分が死ぬことを考えるだけで怖いのに、その恐怖を子供にも与えるなんて残酷だ」というジェイミーの考え方は個人的にはけっこう共感する。

ジェイミーのセリフは死ぬことを意識したものが多く、「今の生き方でいいのか?」という問いを突きつけてくる感じがした。


ニックとジェイミーの決定的な違い

ジェイミーはニックになろうとして、ニックにとりつかれたような言動を繰り返したが、結局はニックになれなかった。

それはジェイミーの死に際によく表れていたと思う。

ハリーに撃たれたジェイミーは、死の恐怖におびえて救急車はまだかと焦っていた。

交通事故で大けがを負ったニックは、助けを求めるどころかジェイミーが助けを呼ぶことを拒み、冷静に死を待っていた。

ジェイミーはニックの言われたとおりに行動し、ニックにとりつかれ、第8話ではニックさながらのねっとりした話し方をするまでになっていたが、死の恐怖を超えられなかったジェイミーはジェイミーのまま死んでいった。

死に際の差はあっても、2人共誰かに見守られながら息を引き取ったのが印象的だった。


ハリーはなぜジェイミーを撃ったのか

ハリーはジェイミーと孤独という感覚を共有し、孤独な者どうしのつながりを感じていたのだと思う。

しかしハリーはジェイミーを撃った。

それも、相手が武器を手にしていない時に。

撃つ必要のないタイミングでハリーはジェイミーを撃ったことになる。

思い返せば例の交通事故はニックの運転中にジェイミーがブレーキを引いたことで起こったが、それは取り返しのつかないことをしようとするニックをジェイミーが止めるためだった。

同じことがジェイミーを撃ったハリーにも言えるのではないか。

ニックにとりつかれたジェイミーはハリーの大切な人に危害を加える犯罪者。

すでにハリーの友人であるモリス警部を殺しており、今度はハリーの家族や恋人がターゲットにされている。

ハリーはジェイミーを殺すつもりはなかったはずだが、これ以上の被害を出さないため衝動的にジェイミーを撃ってしまった可能性はある。

その前のエピソードでも衝動的にジェイミーの首を締める場面があったので、ハリーには考えるより先に手を出してしまうところがあるのだろう。

しかしジェイミーを撃ったことは、丸腰の市民を撃ったということ以上に、ハリーに重くのしかかることになる。

助けたかった人を殺してしまった、という罪悪感なのか。

自分も罪人(sinner)であると認識しているのか。

ところで、大切な孫に銃を突きつけられているのに命乞いどころか「早くやれ!」と怒鳴れるハリーの度胸はあっぱれだった。

ジェイミーにはハリーもイーライも撃てないと理解していたとはいえ、なかなかできることではないと思う。


ソニヤはハリーの理解者になるか?

娘や孫とのぎこちない関係、ジェイミーの死、モリス警部の死など、暗い部分の多かったシーズン3で唯一希望の持てるのがハリーとソニヤ・バーゼルの関係だった。

ソニヤは男性の裸体画を描く画家。

男性のありのままの姿を探求する人である。

ソニヤは通常の会話でも他人の心を掘り下げようとすることが多い。

カラにがっちりこもったハリーに興味を持ち、いろいろ問いかけてハリーの心を探ろうとするのは自然なことだった。

ハリーの娘や同僚は、ハリーが何を考えているか積極的に聞かないし、聞いて答えがなければあきらめることが多い。

しかしソニヤは違う。

自分のことを聞かれると話をそらすとか、他人には何でも話せと言っておいて自分は何も話さないとか、そういったハリーの特性をソニヤは理解し本人に指摘までする。

自分が何も言わなくてもある程度のところまで察してくれて、かつグイグイ踏み込んでくれるので、ソニヤはハリーにぴったりと言える。

ジェイミーのことはハリーの心に大きなダメージを与えた。

今までだったらひとりで抱え込んだだろうし、人前で泣くことなんてなかっただろう。

でもソニヤの前でハリーはカラを破って自分のもろさをさらけ出すことができた。

それはソニヤが人間のありのままの姿をちゃんと見ることができる人だからだろう。

今回、ハリーとソニヤは2人そろってジェイミーに固執して死にそうになったので、そういう意味では心配になる。

でもハリーと同じように犯人の考えに興味を持てる人物は貴重なので、今後ハリーが事件に深入りしてもある程度は理解を示してくれるのではないかと思う。

とかいって、次のシーズンでは別れていたりして。


その他の感想

  • シーズン1と2に比べて謎解き要素やどんでん返しが少なくて、肩透かしを食らった感じはするけど、シーズンごとに違う雰囲気を楽しめるのは個人的にはアリ。
  • ニックやジェイミーの運命を決めるのが折り紙のパクパクという絶妙なダサさ。パクパクで殺される側の身になってくれ。
  • ジェイミーの「俺は悪い人間じゃない」には賛同しかねる。既に3人殺して、もう3人殺す気満々だった人をどう悪くないと言えと。
  • パーティーでジェイミーに殺された人が渡辺謙に似ている。
  • イーライの将来が心配です。

シーズン4が制作決定したようなので、楽しみに待ちたいと思います。


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