【チェーザレ聖地巡礼】事前準備① 漫画の魅力・日程・行き先を考えた

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先日イタリアに行ってきたのは、惣領冬実さんの漫画『チェーザレ 破壊の創造者』の聖地巡礼が目的だ。

ローマ、フィレンツェ、ピサを3泊4日でまわるという強行スケジュールで、案の定見ることのできなかった場所もあるが、個人的には満足のいく旅だった。

今回の聖地めぐりにあたり、改めて『チェーザレ 破壊の創造者』の何がすごいのか自分なりに考えたので、それをまとめつつ、旅行日程や行き先を紹介する。


『チェーザレ 破壊の創造者』の魅力

漫画の概要

『チェーザレ 破壊の創造者』とは、15世紀イタリアに実在した人物、チェーザレ・ボルジアの成長と暗躍を描いた、惣領冬実さんによる歴史漫画だ。

2019年現在、単行本は12巻まで発売されている。

掲載誌はモーニングだが、不定期連載のため連載再開するとさりげなくネットニュースで取り上げられる。今はまた次の連載再開のニュースを待つ日々。



「チェーザレ」のすばらしいところは、フィクションでありながら綿密な歴史考証がなされ、可能な限り史実を再現しようとしている点だ。

資料を徹底的に調べて忠実に描写し、資料が見つからなかった部分は最も歴史に矛盾しない仮説に落とし込んで描いている。

どのコマを切り取っても表紙になりそうな美しい絵も大きな魅力だが、設定や背景の細部に至るまで丹念な調査に基づいていることが、「チェーザレ」最大の特徴だと私は考えている。


もはやドキュメンタリーだった12巻

12巻はコンクラーベ(教皇選挙会議)のシーンが大部分を占めるのだが、資料がほとんど残っていないと言われる15世紀末の教皇選挙の様子が事細かに描写されている。


選挙の進め方だけでなく、会場となったシスティーナ礼拝堂の当時の構造や内装、投票用紙まで詳しく説明されていて、

「これはもう漫画というよりドキュメンタリーじゃないか」

と思いながら読んでいた。

コンクラーベの見どころはチェーザレの父ロドリーゴの駆け引きと、チェーザレの策動が選挙結果にどう表れるかといった点なのだろうが、残念ながらコンクラーベの再現が丁寧すぎて12巻ではチェーザレが影で動いた結果どうなるのかまで出てこなかった。

12巻の発売が約4年半ぶりだったので、先が気になる状態で終わってしまったのはつらいところ。「十二国記」に比べれば大したことないのだろうけど(内容を忘れすぎて新作に手が出ない…)。

それはさておき。

一部単行本の巻末には時代背景の解説のほか、漫画制作のためにどのような資料を当たり、どのように史実を検証したのかというプロセスが紹介されている。

制作に並々ならぬ労力が注がれているのがうかがえて、本編を読んでも感服にひれ伏したくなるのに、解説を読むとひれ伏しすぎて床にめり込むレベルになる。

大河ドラマ『いだてん』の取材現場の裏話が書かれた記事に、

真相がわからないから、ここは作り事にしようというフィクションと、わからないけど、徹底的に調べてみようと思って書かれたものだと、後者の方が作品として強い。

出典:前人未到の大河ドラマ『いだてん』はいかにして作られたのか 取材担当者が明かす、完成までの過程

と書かれていて、まさに「チェーザレ」がこれに当てはまるなと思った。

しかもチェーザレが生きていたのは500年以上も前。現存する資料を探すのは大変だろうし、資料が見つかってもイタリア語だし、調べること自体に要求されるスキルの次元が違う。

質の高い調査に基づいているからこそ、「チェーザレ」には安定した味わい深さがある。

まあ、その代償が不定期連載なのだけど。


そして聖地巡礼へ

基本的に私は漫画や映画の影響を受けやすく、人生初の北海道旅行すら『ゴールデンカムイ』の影響だったりする(公言はしていないが)。

>>一生分の熊を見た。のぼりべつクマ牧場の見どころと感想

そんな私が「チェーザレ」を読んでピサやフィレンツェに行きたいと思わないわけがなかった。12巻を読む前に1巻から読み返したので尚更。

最初は数年以内に行ければいいな程度に考えていたが、11月にイギリスに行く機会が舞い降りた。

イタリアに寄れる! 聖地巡礼決行。



3泊4日の聖地巡礼スケジュール

イギリスのついでに寄るという都合上、3泊4日というスケジュールとなった。

飛行機の発着はローマなので、宿泊もローマ。

作品に登場した場所はピサとフィレンツェが中心で、特にピサはチェーザレが学生生活を過ごした町なので外せない。

ピサに行くにはローマからフィレンツェ行きの電車に乗り、フィレンツェで電車を乗り換える必要がある。それならフィレンツェにも寄れそうだ。

チェーザレは12巻の時点ではまだローマに行っていないが、チェーザレの父ロドリーゴはずっとローマにいるし、準主役のアンジェロも12巻でローマに到着したのでローマも聖地巡礼の範囲内だ。

それに、12巻の舞台はバチカンのシスティーナ大聖堂。行っておくべきだ。

3泊4日のうち1日目と最終日は飛行機で移動する日なので、予定は入れないほうが無難。となると、自由時間は丸2日。

こうして完成した旅程は、

1日目:ローマ到着日。空港からホテルへ移動
2日目:バチカンとローマ散策日
3日目:日帰りでフィレンツェとピサへ
4日目:ホテルから空港へ移動

という強行スケジュールである。3泊4日でわざわざピサまで行く人はあまりいないと思う。

ホテルはテルミニ駅の近くにした。

テルミニ駅からは空港直行の電車が出ているし、フィレンツェ行き電車にも乗れ、バチカンへ行く地下鉄も出ている。今振り返ってもテルミニ駅のそばで宿泊したのは大正解だった。

ちなみに航空会社はエールフランス。ここ10年、ヨーロッパに行く時はエールフランスばかり使っている。

>>パリ乗り継ぎは1時間半で足りる?エールフランスでローマに行く場合



都市ごとの聖地巡礼スポット

あらかじめ漫画で名前が出てきて、簡単にアクセスできて、日程的に行けそうな場所をリストアップしておいた。

ローマ

  • サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会
  • サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂
  • フォロ・ロマーノ
  • サンタンジェロ城
  • システィーナ礼拝堂(バチカン)

ピサ

  • 洗礼堂
  • 斜塔
  • ピサ大聖堂
  • ピサ大司教邸
  • カヴァリエーリ広場

フィレンツェ

  • メディチ邸
  • フィレンツェ大聖堂
  • サン・ロレンツォ教会


この中には残念ながら電車遅延や大雨で断念した場所もあるが、それはまた個別の記事でお話ししたい。

次の記事では事前準備として私が読んだチェーザレ関連本、チェーザレが登場すると知って旅行前にプレイしたアサシンクリードシリーズについてまとめる。

>>【チェーザレ聖地巡礼】事前準備② 塩野さんの本とアサクリとネトフリと



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