過去エピソードで振り返るゲーム・オブ・スローンズ最終章6話感想①


ゲーム・オブ・スローンズの最終話「鉄の玉座(The Iron Throne)」の感想を、過去のエピソードとの関連シーンを振り返りながら書いていく。

※シーズン8のネタバレを含みます

本記事はエピローグの前までの感想をまとめた。



シーズン8第6話の簡単なあらすじ

  • デナーリスは王都の捕虜をすべて殺し、全世界を支配するまで戦いは続くと宣言する
  • ティリオンは民衆を虐殺したデナーリスを責め、デナーリスはティリオンがジェイミーを解放したことを持ち出し反逆罪にする
  • ティリオンは、世界の脅威となったデナーリスを止めるようジョンを説得する
  • ジョンはデナーリスの心臓をナイフで刺す。母の死に怒ったドロゴンは鉄の玉座を炎で溶かし、デナーリスの遺体をつかんで飛び去る
  • ティリオンの提案と、ウェスタロスの諸侯の投票によりブランが王に選ばれる。サンサが北部の独立を求め七王国は六王国となる
  • ティリオンは王の手になり、ジョンはデナーリス殺害の罪で壁に送られる
  • 王都ではブラン王の小評議会が開かれる。ジョンは壁の北へ出発し、アリアはウェスタロスの西へ旅立ち、サンサは北部の女王に即位する



Duty is the death of love(義務は愛を殺す)

ティリオンにデナーリスを何とかするよう言われたジョンは、メイスター・エイモンの言葉「愛は義務を殺す」を口にする。

S1-09で黒の城にいたジョンは、ロブがネッドを助けるためにキングスランディングに向かうことを知り、ナイツ・ウォッチの誓いを破ってロブに加勢しようとした。

そのときエイモンがジョンにかけた言葉が「愛は義務を殺す」。

愛か義務かの選択を迫られたとき、普通の人は正しいほうを選べない。だからナイツ・ウォッチが妻も子も持たない、とエイモンは説明する。

エイモンの正体はターガリエンであり(ジョンの曾祖伯父(そうそはくふ)=曾祖父の兄にあたる)、ロバートがターガリエン王朝を倒したとき、エイモンは親族を助けることよりナイツ・ウォッチの誓いを守り義務を果たすことを選んだ。エイモンの話を聞いたジョンは、家族より義務を選び壁に留まる。

ジョンはその後も愛か義務かの選択を迫られた。マンス・レイダーの仲間のふりをしていたとき、恋人イグリットかナイツ・ウォッチの義務のどちらかを選ばねばならなかった。ジョンは義務を選び、敵対したイグリットはジョンの目の前で殺される。

そしてまた、デナーリスとの愛を貫くか、大勢の人を守るか、という究極の選択を迫られ、人々を守るという義務を選んだ。もう愛する人を失いたくない、という気持ちは当然あっただろう。

普通の人は正しいほうを選べない。ロブやジェイミーは愛を選んで自滅した。ジョンの強さは、自分の気持ちを犠牲にして正しいほうを選べるところだ。

シーズン8ではパッとしない活躍ばかりだったジョンは、最後の最後で誰よりも重い役目を果たした。


ところで、ドロゴンの広げた羽にデナーリスが重なって、デナーリスに羽が生えたように見えるベタだけどかっこいい演出があったけど、あれドラゴンの羽ではなく悪魔の羽に見えませんでした?

悪魔の羽イメージ

演説のシーンも、まるで世界征服しに行く魔王と部下たちの図。「デナーリスが死ぬなんて許せない」という視聴者に向けて「デナーリスはこんなに危険だから、ジョンに倒されるのは仕方ないんですよ~」と印象操作したかったのかなと深読みしてしまう。



新たな国王があっさり決まる

生き残った名家が勢ぞろい

デナーリスが死んでから数週間たったそうで。やけに天気がいいけど、冬は終わったのだろうか。シーズン8は全体的に時間の経過が分かりにくい。

集まった七王国の諸侯の中には、懐かしのエドミュア・タリーとロビン・アリンが。エドミュア叔父さんは最後までかっこいいところが全くない逸材だった。

スターク家以外の代表者は一族唯一の生き残りばかりだ。ターリー家はサム、タリー家はエドミュア、グレイジョイ家はヤーラ、アリン家はロビン、ラニスター家はティリオン、ドーンはよく分からない。この場にいないがターガリエン家はジョン。これまでの戦争の厳しさを物語っている。


ブラン、君に決めた!

私もブラン王誕生に「え?」ってなったうちのひとりだ。なにせ私は、ブランは夜の王との戦いで死ぬと思っていた。きっとピンチのジョンをドラゴンに潜って助けてに力尽きるか刺されるんだろうと突飛で勝手な予想をしていたら、まさかのブラン・キング化である。

ブラン役のアイザック・ヘンプステッド=ライト本人もびっくりだったようで、インタビューでは「ジョーク用の脚本かと思いました。自分の演じるキャラクターが玉座につく脚本がみんなに送られていると本気で思いました」(管理人訳)と話している。

【参考】Bran Stark speaks: Isaac Hempstead-Wright discusses that Game of Thrones ending(EW)

(このインタビューで個人的に好きなのは、「結末はうれしいけど、頭が吹っ飛ばされるみたいなすごい死に方をしたかった」と話しているところ)

意外だったが、この展開が悪いとは思っていない。「ゲーム・オブ・スローンズ最終話感想。スキル・知性・物語の支配について」に書いたとおり、今後の六王国には大いに期待している。

ブランが適任だとティリオンが思ったきっかけは、ブランにどういう経緯で三つ目の鴉になったのか聞いたときだろう(S8-02)。あれがブラン王誕生の伏線だったとはびっくりだ。実際にどんな話がされたのかは一切描かれていないが、ティリオンはブランの伝記が書けるくらい根掘り葉掘り聞いたに違いない。


正直、新しい国王を決めるのに1エピソード使ってほしかった。世襲ではない王様が10分で決まるって国としてどうなの。

北部の独立もあっけなく認められて、あまりの円満さが逆に不自然だ。もし投票の順番がサンサからだったら、「鉄諸島も!」「ドーンも!」ってなっていたかもしれないではないか。

何はともあれ、ブランが王に決まったことがちゃんとミーラ・リードに届いているといいなと思う。ブランが三つ目の鴉に会えたのも、無事にウィンターフェルまで戻れたのもミーラのおかげだからね。ミーラの苦労や損失、別れ際に受けたブランの塩対応も、これで報われることを望む。

続き>>過去エピソードで振り返るゲーム・オブ・スローンズ最終章6話感想②


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