2020年1月と2月に見た映画の感想と上映中に通話する客ガチャに当たった話


2020年1月と2月に私が映画館で見た映画と、家で見たNetflixオリジナル映画をゆるく振り返る。

ネタバレは基本的に避けているが、やんわり内容に触れたり特定のシーンを取り上げたりしている部分はあり。

また、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』の上映中に通話する客がいた時の思い出も語ります。


2020年1~2月に映画館で見た映画一覧

  • ダウントン・アビー
  • スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
  • パラサイト 半地下の家族
  • ジョジョ・ラビット
  • フォードvsフェラーリ
  • マリッジ・ストーリー
  • 2人のローマ教皇
  • テリー・ギリアムのドン・キホーテ
  • 9人の翻訳家 囚われたベストセラー
  • ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

計10本。

このうちスター・ウォーズ、マリッジ・ストーリー、ドン・キホーテにアダム・ドライバーが出演していたので、私の2020年の映画ライフはアダム・ドライバー祭りでスタートした。

ついでに2012年の映画『フランシス・ハ』も、アダム・ドライバーが登場するのを知らずにNetflixで見た。

アダム・ドライバーのことはドラマ「GIRLS/ガールズ」の変態彼氏アダム(役名もアダム)の頃から知っていたので、彼がスター・ウォーズのメインキャストを演じると聞いた時は「あのアダムが!」と名ばかりの親戚のように感激したものです。



各映画の感想

ダウントン・アビー

ドラマ「ダウントン・アビー」の続編。イギリス国王がお屋敷にお泊りになるドタバタムービー。

一時期ダウントン・アビーがめちゃくちゃ好きで、英語の脚本集を買って読んだり、発音練習のためにシャドーイングしたりしたくらい入れ込んでいた。なお、英国貴族の発音でシャドーイングするとむせるのでおすすめしない。

あんなに好きだったダウントン・アビーなのに、ドラマのシーズン6(最終シーズン)は見ていないという大いなる矛盾を抱えての劇場版鑑賞。

公式が用意したドラマのおさらい動画を見ていたので映画自体は問題なく楽しめた。

20人以上の登場人物それぞれにイベントを用意してまとめ上げる構成が見事だし、何よりもお屋敷、キャラクター、BGMの全てが懐かしくて見ているだけで幸せがこみ上げる。シーズン6まで見てから言えという感じだが。

メアリー、トム、トーマスあたりはシーズン1を思い出すと本当に変わったなと感慨深くなる。

シーズン1は1912年、映画の舞台は1927年なので作品内では15年たっているのに、デイジーは人魚の肉でも食べたのかってくらい見た目が変わらなくてビビる。




スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

スターウォーズの9作目で続三部作の完結編。8作目の内容をほとんど覚えていない状態で見たけど、話のテンポがよくて意外と面白かった。

7~9作目は旧作を見ていなくても楽しめると思うが、9作目だけは昔のシリーズを見てからのほうが鑑賞体験的にはよさそう。過去作品のオマージュ満載だし、黒幕そう来たかと、驚いたので。

ただ、あれだけ8作目でレイは何者でもないと言っておきながらそれかよとは思った。


パラサイト 半地下の家族

全員無職の貧乏4人家族のキム家が金持ちのパク家に寄生し始める話。

見た理由はアカデミー賞、ではなく、映画監督を目指しているイギリス人の友人が傑作だと激推ししていたので、日本公開直後に見てきた。

韓国映画どころか韓国ドラマも見たことなかったので、人生初の韓国作品。

コメディーからホラーへと、1本の映画の中で雰囲気がガラリと変わる構成に圧倒されながら、格差社会の厳しさを終始感じる話だった。

ホラー苦手なので一部警戒しながら見ていたが、ホラーな雰囲気くらいだったのでセーフ。

ある時点でキム家の父親が「無計画が一番」だと言う。計画を立てても人生うまくいかない、ノープランなら失敗すらしないと。

このお父さんの言葉は強烈で、希望を抱くことすら無駄だという現実がうっすら見える。

韓国では格差が広がり、若者は恋愛、結婚、出産を諦める「三放世代」と呼ばれ、加えて就職とマイホームを諦める「五放世代」と呼ばれ、今ではさらに友達と夢も諦める「七放世代」になっているのだとか。


長男の、将来あの豪邸を買い取って…という計画も、父親の「計画はいつも失敗する」という言葉を思い出すとうまくいかないのだろうなと思う。


ジョジョ・ラビット


第二次世界大戦中のドイツでヒトラーに心酔する10歳の少年ジョジョが、ユダヤ人の少女と出会って変わっていく話。

タイカ・ワイティティ監督作品だと『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』のシュールさが結構好きで。

『ジョジョ・ラビット』もコメディかなと思って何も調べず見に行ったらコメディもあるけど猛烈に感動する話で、見た直後は今年一番の映画かもしれんとまで思った。

少年ジョジョが、怪物扱いして見下していたユダヤ人と交流するうちに同じ人間だと認識していく過程とかすばらしいと感じていたのだが。

町山智浩さんの解説で『ジョジョ・ラビット』は原作(「Caging Skies」)の途中までしか映画化されていない上、タイカ・ワイティティの少年時代が投影されてしまっていると知って、そうかこの映画は小説から内容がかけ離れた私物化作品なのかと、手放しで称賛することはできなくなった。

何も知らないほうが楽しめる映画も珍しい。

でももう1回見たいなと思う。キャプテンKは最高だったし。サム・ロックウェルは『スリー・ビルボード』に続いて第一印象がガラリと変わるいい役だった。


フォードvsフェラーリ

1966年のル・マン24時間レースの実話をもとにした話で、これ絶対いい作品なのだけど、私のコンディションが悪かった。

フォードのフェラーリ買収あたりの小難しい話で意識不明に陥り、気づいたらレースの準備が始まっていた。

食後に見たのがいけなかったのだろうか。

大変申し訳ありません。


マリッジ・ストーリー

ニコールとチャーリー夫婦の離婚を描いたNetflixオリジナル映画。

スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーが夫婦役って最強すぎません?

結婚生活というか、親密な相手との人間関係で大事なのは話し合いと「ごめん」の一言なんだろうなあとしみじみ感じる繊細な人間ドラマだった。

好きなシーンは、メニューを決められないチャーリーのために、ニコールがチャーリーの好き嫌いを完璧に踏まえて代わりに注文してあげるところ。

離婚調停中でものすごくギスギスしているのに、ニコールは誰よりもチャーリーのことを理解しているということが分かってグッときた。

あとローラ・ダーンが「妻は完璧を求められてきた! 男にとっての理想の妻とは穢れなき献身的な聖母マリアなのよ!」的なことを熱弁するシーンも、謎の大迫力で好き。


スカヨハが誰かの靴紐を結んであげるシーンは『ジョジョ・ラビット』にもあったので、靴紐を結ぶという行為に何か意味があるのかと調べたけど特に見当たらず。親密さの表れなのだろうか。


2人のローマ教皇

教皇ベネディクト16世と、後の教皇となるベルゴリオ枢機卿(現教皇フランシスコ)の交流を描いたNetflixオリジナル映画。

意見が全く合わない2人が、話し合いを重ねピザを食べ音楽を語るうちにお互いのことをよく知るようになってマブダチになっていく話だった気がする。たぶん違う。

ベネディクト16世の心労となっていたカトリック教会の聖職者による児童への性的虐待問題に焦点を当てていた映画といえばボストンが舞台の『スポットライト 世紀のスクープ』でしたね。

『2人のローマ教皇』は社会問題やベネディクト16世の不祥事に深く突っ込む作品ではないので、背景は自分で調べないとなと思いつつあまり調べていない。

ラテン語が聞ける珍しい映画でもある(『パッション』もラテン語らしいけど見たことがない)。

個人的には冒頭のコンクラーベ(教皇選出選挙)に燃えた。チェーザレ12巻でコンクラーベ出てくるから。

この映画最大の特典は、システィーナ礼拝堂を存分に堪能できることではなかろうか。あれセットらしいけど、鮮やかに再現されたミケランジェロの「最後の審判」そっくりさんが鑑賞できる。


テリー・ギリアムのドン・キホーテ


セルバンテスの『ドン・キホーテ』を現代風にアレンジして、過去と現実と空想が入り乱れた構成にして、テリー・ギリアム監督が9回の頓挫を経て30年越しに完成させたのがこの『テリー・ギリアムのドン・キホーテ(原題:The Man Who Killed Don Quixote)』。

…という情報を知らずに見たのでわりと訳が分からなかった。

テリー・ギリアム監督作品は『未来世紀ブラジル』とか『Dr.パルナサスの鏡』とか見たことあるので、ワケわからんこと自体には驚かなかったが。

『2人のローマ教皇』でジョナサン・プライスを見たばかりだったし、アダム・ドライバー出ているし、主演と監督の名前だけで見に行ったようなもの。

ジョナサン・プライスはイギリス人なのにアルゼンチン人やスペイン人を演じるのだからすごい。たぶんアクセントもスペイン語訛りの英語にしている。

『ドン・キホーテ』の内容を知っていて、この映画の企画が頓挫した時の舞台裏ドキュメンタリー映画『ロスト・イン・ラマンチャ』を見たことある人は楽しめると思う。


9人の翻訳家 囚われたベストセラー


ベストセラー「デダリュス」の最終章にあたる3部目を世界同時刊行するため、9人の翻訳者が地下室に集められ厳戒態勢で翻訳をすることになるが…というところから始まるミステリー。

ドラマとして奥深く、事件の真相は予想外。個人的にはかなり好きな作品。

人におすすめしたいけど内容を話せば話すほど面白さが減るので布教が難しい。

フランス映画だけど多言語で、イギリス、スペイン、イタリア、ドイツ、ポルトガル、デンマーク、ギリシャ、ロシア、中国の文化的なネタも垣間見える。


ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

アメリカの富豪で小説家のハーラン・スロンビーの死因と遺産をめぐるミステリーコメディ。

アカデミー賞の脚本賞にノミネートされていたことと、予告編を見た時に「ゲーム・オブ・スローンズの鉄の玉座みたいなのがあるな」というテキトーな理由で気になっていた。


どんでん返しが4回くらいあって最後に向かってきれいに伏線を回収するストーリーはよかったし、漫画になりそうな強烈なキャラクターもよかった。

強欲な一族と可憐なゲロインと南部訛りの私立探偵が言葉の刃でバトルするのも楽しい。

キャプテン・アメリカのクリス・エヴァンスがクソクソ連発するのも笑える。

映画自体はよかったのに、これからお伝えする上映中の悲劇ばかりが思い出される。



上映中の通話という名の災害

映画が始まったら携帯電話は音が鳴らないようにするのが一般的な感覚だが、運が悪いとそうではない観客に当たるようで。

『ナイブズ・アウト』の上映中、何列か前の席にいる誰かの携帯が鳴った。

常識として、すぐに着信を切ると思うじゃないですか。

そしたらですね、おじいさんらしき人が「もしもし?」って電話に出やがったんですよ。

「今映画の最中。終わったらかけ直すね」とか普通にしゃべってるんですよ。

百歩譲って着信音までは許すが通話はダメだ!!!

他人の通話など気にせず鋼のメンタルで映画に集中したかったが、どうがんばっても通話の声に注意が向いてしまう。大・迷・惑。

観客のほとんどがイラッとしたはずで、舌打ちしているお客さんもいた。気性の荒い人がいたら暴動が起きていたかもしれない。

もし私が通話じいさんの隣の席だったら、電話を奪い取って握りつぶして粉末スマホパウダーにしていたと思う。頭の中で。

上映中に近くでスマホいじられるのもイヤだけど、通話はスマホ光害が子猫のようにかわいく思えるレベルの災害。

マナーなんてゆるい単語じゃなくて迷惑行為なのです。上映中のスマホ操作は他人の時間を奪っている。

『ナイブズ・アウト』のクリス・エヴァンスの言葉を借りるならまさに「Eat shit(クソ食らえ)」「Double shit(クソ2倍)」。2倍どころかメガ盛りでお願いしたい。



まとめ

今回の中で好きなのはパラサイト、ジョジョ・ラビット、マリッジ・ストーリー、イチオシは9人の翻訳家。

誰かと見るならナイブス・アウトが楽しいと思う。客ガチャのせいで私には変な思い出ができてしまったが。

新型コロナウイルスの関係でしばらく映画館に行かないかもしれない。『1917 命をかけた伝令』見たかった。


Next Post Previous Post