【Clair Obscur: Expedition 33】白紙で始めて大正解の芸術RPG、クリア後ネタバレなし感想

ナントカ33 クリア後レビュー

Clair Obscur: Expedition 33(クレール・オブスキュール:エクスペディション33)』をクリアし、あとはトロコンのためにエンドコンテンツがいくつか残っている状況。

今まで遊んだRPGの中で最高クラスのおもしろさだったので、布教を兼ねてネタバレなしで感想を書いていく。

白紙はゲームを楽しむ最大の恩恵

毎年ペイントレスが数字を刻むと、その年齢の人が全員死ぬという現象が67年間続いている世界。

輪廻を打ち破るため旅立った遠征隊の中で、生きて帰ってきた者はいない。

100から始まった数字は今年33となり、第33遠征隊が出発する。

…という概要だけ聞いて、「これ私が好きそうなやつだ」と思い、PVも何も見ずに即購入。

クレールオブスキュールエクスペディション33 画像

プロローグに圧倒されたあとは、クリアするまでネタバレ防止を徹底。

攻略記事のタイトルも動画のサムネイル画像もSNSの評判もシャットアウトするため、ほぼネット検索せずに進めた。

(唯一の例外は、ACTIの終わりに「この声、FF16のクライヴじゃね?(英語版の)」と気になってしょうがなかったのでIMDbで調べたこと)

おかげでストーリー展開は「な、なんだってー!」の連続。ACTIがああなるとは微塵も思っておらず、本当に衝撃的だった。

ACTI終了後すぐに設定を開き、ムービー中のキャラクターカスタマイズ(衣装&髪型反映)を無効にしたのは私だけではあるまい。

何も知らなければ知らないほど、このゲームは楽しめること間違いなし。

芸術作品を鑑賞するようなストーリー

アートとファンタジーが混じり合う独特の世界観が魅力の『Clair Obscur: Expedition 33』。

クレールオブスキュールエクスペディション33 画像

芸術という要素が深く関わっている本作最大の特徴は、ゲーム体験そのものを芸術作品として仕上げた点にあると私は思う。

街やフィールドが見とれるような光景なのは言うまでもなく、ストーリーのドラマを描くカットシーンの色彩、構図、背景のすべてが絵画のような美しさを放っている。

さらに、ストーリー構造そのものにも抽象画のような側面がある。

最初は見てもよく分からなかったのに、描かれた背景や意味が分かってくると、以前は目に入らなかった細かなことに気づくようになったり、キャラクターに対する印象がまったくの別物になったり…

まるで美術鑑賞のようなゲーム体験なのだ。

実際、ACTの移り変わりはこれでもかというくらいの大展開で、ACTIからACTII、ACTIIからACTIIIへと進むたびに、世界がガラリと変わったかのような感覚を味わえる。


一方で、芸術というものは分かりづらい面があるのも事実。

ストーリーは一通りプレイしただけではなかなか全貌をつかめない。

なんとなーく世界の仕組みやキャラクターの状況は理解できるけれど、「結局あれがこれで、えーっとこれは?」みたいな状態でエンディングを迎える。

ただ、直接的な説明が少ないだけで(セリフの量も少ないような)、決して難解なストーリーではないと思う。

必要な情報はすべてゲーム内に散りばめられているのではないかな。

メインストーリーやキャンプイベント、道中の少年、楽曲の歌詞、ジャーナル、エンドコンテンツのイベントシーンなどなど…

クレールオブスキュールエクスペディション33 画像

あらゆるところにパズルのピースが散らばっていて、それらを集めるとちゃんと1枚の絵が完成するような、そんな作りになっている、気がする。

(難点は、エンドコンテンツにもストーリー考察のための情報が転がっていること)

世界観はファンタジックで奇抜な設定だけど、テーマは家族・人生・死といった普遍的なもので、そんな描き方もまたアート的。

クレールオブスキュールエクスペディション33 画像

全体像がなんとなくでも分かった状態でニューゲーム+を始めたら、さらに見える世界が違ってきて、よりくっきりと作品を鑑賞できるんじゃないかと思う。

トップ画像に使っているメインビジュアルだって、ゲーム開始直後と今とでは、まったく印象が違う。

音楽の完成度も非常に高く、まさに「総合アートRPG」と呼びたい一作。

ターン制パリィゲーの戦闘システム

芸術的なストーリーとは対照的に、戦闘システムはしっかりとゲームらしさにあふれている。

戦闘は、FF10のようなターン制に、エルデンリングのような回避・パリィを組み合わせたようなもの。

クレールオブスキュールエクスペディション33 画像
攻撃時のQTE

どう攻撃するかじっくり考える時間がありつつも、次に自分のターンが来るまでヒマすることがない、画期的なシステムだと思う。

攻撃は、事前に1ターンを準備に使って威力を高めるスキルが多かったり、スキルに必要なコスト(AP)を考えたり、敵の弱点を突かないと倒すのに時間がかかったりと、「このスキルだけ使えばOK」みたいな単純化を許さない点がおもしろい。

防御面では、回避・パリィがとても重要。

クレールオブスキュールエクスペディション33 画像
回避・パリィは自力でタイミングを判断

タイミングよくボタンを押すだけ、といえばそうだけど、敵によって攻撃パターンが違うし、わざとらしい溜め攻撃や1ターンで連続攻撃もある。よけられなければワンパンで死ぬことも。

回避のほうが難易度は低め。ただし、パリィを成功させると強力なカウンターが入って、ザコなら一発で倒せる。APまで増える。

カウンターのモーションもかっこよく、爽快感がある。

パリィのハイリスク・ハイリターンはやみつきになるし、パリィさえ決まればレベルが足りなくても強敵を倒せるのは抗いがたい魅力。

当たって砕けろの精神でパリィばっかり狙い、実際に当たって砕けて死にまくっているのは私です。

不思議なことに、最初はムリだと思っても何回か挑戦するうちに成功するようになるので中毒性が高い。

おわりに

全体的に、非常に完成度と満足度の高いゲームだった。

ルミエールに住む人たちの顔がみんな似ているとか、ミニマップがないからフィールドで迷うとか、気になる点はいくつかあったものの、それも設定的な要因かなと考えられなくもない。

芸術性やゲーム性に加えて、キャラクターの髪型・衣装のカスタマイズや「マリオかよ」みたいなステージなど、お遊び要素も充実している。

クレールオブスキュールエクスペディション33 画像
これはビーチバレー

トロコンしたら2周目を開始して、今度はネタバレにゴリゴリ踏み込んだプレイ記録をつけながら、この世界に再度どっぷり浸りたい。

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