Amazonドラマ【アップロード】シーズン1感想。近未来とVR天国の疑似体験

2020/06/22

海外ドラマ

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Amazonオリジナルドラマ「アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~」のシーズン1の感想です。

途中からストーリーのネタバレあり。



「アップロード」の概要

舞台は2033年のアメリカ。

人間は死ぬ直前に脳のデータをアップロードすることで、バーチャルリアリティーの死後の世界で生きられるようになっていた。

27歳のプログラマーであるネイサンは交通事故により重傷を負い、ガールフレンドのイングリッドの希望でホライズン社の提供する高級仮想空間レイクビューへとアップロードされる。

始めはバーチャルなあの世に抵抗を示していたネイサンだが、ホライズン社のカスタマーサービス担当者ノラの助けにより、レイクビューの生活になじむ努力をする。

一方ノラは、ネイサンの死に不可解なことがあると気づく。

以上がストーリーの導入部。

近未来のテクノロジーを疑似体験できる楽しさがある他、生きている者と死んだ者の恋愛の難しさや、ネイサンの死を巡る謎などがドラマの見どころだ。

シーズン1は全10話で、1話あたり約30分(第1話だけ46分)。

基本はコメディだが、頭部が丸ごと吹き飛ぶようなグロテスクな場面がたまーにある。


興味をそそられる近未来のアメリカ

舞台が2033年なので、ドラマで描かれるテクノロジーや企業名は今の世界の延長線上にあるものが中心だ。

個人的に印象に残っているものは下記。

自動運転社会

「アップロード」では自動運転が当たり前になっている。

AIが運転してくれるので、移動中は後部座席でおしゃべりしたりいちゃいちゃしたりと好きなことをして過ごすことができる。

交通事故で死ぬのはほぼあり得ない世の中のため、ネイサンの事故は極めて珍しい事例。

3Dプリンターの食べ物

ドラマでは3Dプリンターで作られた食事が普及している。

ただ、ノラの家では3Dプリンター製の食事が登場したのに対し、イングリッドの家の食卓には本物の食品で作られた食事が並んでいた。

リアルな食べ物は裕福な家庭でしか食べられない高価なものになっているようだ。

飛行機のエコノミー・マイナス

ノラがニューヨークからロサンゼルスに移動する時に使ったのは、飛行機のエコノミーマイナス。

座席は前後のスペースがあってないようなくらい窮屈で、前の人が背もたれを倒すとノラは身動きが取れなくなっていた。

しかも座席が2階建てというか2段式になっており、上の席に座っている乗客の足が視界に入る。

こういう、上下左右ゆとりのある2段式なら乗ってみたいけど…。


ドラマに出てきたぎゅうぎゅうのエコノミーマイナスは心身の負担が大きそうだった。

名だたる大企業どうしの合併

「アップロード」には誰もが知っている企業名も登場する。

登場するのだが、我々の知っている名前と少し違う。

例えばGoogle Samsung。

どうやら「アップロード」の世界では、グーグルとサムスンが合併したことになっているらしい。

そしてPanera Facebook。

PaneraはアメリカのベーカリーチェーンPanera Breadのことだと思うが、ベーカリーチェーンとFacebookの合併はたぶんジョークとしてとらえればいいはず。

強引に例えるならヤマパンとLINEが合併したみたいな感じで、「どうしてこうなった」的な大企業どうしの合併がさらっとセリフに出てくるのがおもしろい。

AT&T&TはAT&Tとどこが合併したのだろう。


以下、シーズン1の最後までのネタバレあり。


バーチャル天国は地獄にもなりえる

アップロードされたネイサンを見て思ったのは、バーチャルリアリティーのあの世は天国にも地獄にもなり得るということ。

ネイサンはお金持ちのガールフレンドがいたからデータ無制限のレイクビューにアップロードしてもらえたが、お金がないと容量が2ギガしかない下層のバーチャル天国にしか行くことができない。

ネイサンの母親が見つけたような、安いアップロードサービスを提供する会社もあるようだが、安全性や快適さに関してはかなり怪しい。

たとえアップロードして死後の意識を保てたとしても、金銭的な余裕がなければ不自由な生活を強いられることになる。

また、ネイサンのアップロードにはイングリッドがお金を出しているため、ネイサンの生活の主導権はイングリッドが握っている。

ネイサンがアップロード内で何にお金を使ったかは常にイングリッドに監視される一方で、イングリッドはネイサンに何を与えるか自由で、例えばネイサンに着させたい服などはイングリッドの独断で決めることができる。

ネイサンはイングリッドの機嫌を損ねればデータを消される可能性があり、下手に文句を言うことができない。

お金を払う側が圧倒的強者になるというのがアップロードの特徴だ。

ただ、イングリッドはわがままではあるが、ネイサンを想う気持ちは本物なので、イングリッドがネイサンに危害を加えることはない。

では仮にパートナーが暴力を振るう人だったら?

脅されて契約書を書かされ、無理やりアップロードさせられ、死後もバーチャルの世界でDVに苦しむことになれば、楽しい死後の世界だったはずのものは永遠の地獄となる。

カスタマーサービスに訴えたとしても、アップロードの契約者が相手である以上、解決は難しいのではないか(そういった問題を専門にする弁護士とかいそうだけど、結局はカネがあるほうが勝ちそう)。

まあ、DVのことはドラマと全く関係ないのだが、死んでも金銭面や人間関係で苦しむことになるのはつらいなと思った。

理想だけ言うと自分の遺産だけで死後の生活を賄えるのがベスト。


ストーリーは好きだがノラに共感できない

ネイサンがアップロードの世界の主人公で、ノラは現実世界での主人公にあたる。

ホライズン社で働くノラは、親身な接客態度とチャーミングな笑顔で好感の持てるカスタマーサービス担当である。

ネイサンの死に関する真相を突き止めるためノラが奔走する姿はドラマの見どころの1つなのだが、ノラのやっていることを冷静に見てしまうとノラに共感できなかった。

第10話でネイサンが親友ジェイミーを裏切ったことが明らかになった時、ノラはネイサンに失望したと語る。

「自分が親友の立場だったら傷つく」と。

しかし、状況は大いに違うが、ノラが9話でバイロンにとった態度だって相手を傷つけているのによくそんなことが言えるなと思った。

上司ルーシーにネイサンとの恋愛関係を疑われたノラは、会社のクリスマスパーティーにデートアプリで出会ったバイロンを彼氏として呼び出し、ルーシーの前でバイロンにキスしたりして取り繕う。

ノラの本命はネイサン。

しかしバイロンはノラに気がある。

ノラはバイロンを都合よく利用し、上司の目をごまかすという役割を終えたバイロンに放った言葉は「まだいたの?」だ。

バイロンはノラの仕事をバカにするようなところがあるし、相手の気持ちを考えていないところがあるので、ノラがバイロンに冷たくすること自体は何の異論もないし、バイロンに同情したいわけでもない。

ただ、ネイサンのために他人をないがしろにするノラを見ると、せっかくのネイサンへの真摯な言葉も薄っぺらく感じてしまうのだ。

好きな人とそうでない人への態度が違うのは当たり前と言えば当たり前なので、ノラの人間らしさが表れているわけだし、ノラは好きな人のことしか考えられなくなる性格だと考えればいいのかもしれないが、ノラにはいまいち共感できなかった。


それでもシーズン2は楽しみ

主人公のひとりに共感できないという致命的な感想を持ったものの、ネイサンの事故にまつわる謎の真相は気になるし、イングリッドの動向は気になる。

ノラのお父さんが黒幕は権力者かもと推測したことから、話のスケールが政治や国家レベルまで大きくなる可能性もある。

近未来のガジェットは興味深いし、アップロードの世界はもっと見てみたいので、シーズン2は楽しみに待ちたい。



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