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ヘイル・メアリー、The Wire、方舟など。最近のおすすめ作品備忘録【映画・ドラマ・本】

プロジェクト・ヘイル・メアリーなど感想

最近見た映画・海外ドラマ・本がどれもおもしろかったので、おすすめ作品備忘録として感想をまとめた。

ネタバレは基本なし。ある場合は注記あり。

映画

プロジェクト・ヘイル・メアリー

雑に紹介すると、ひとりの科学者が知識と知恵と実験を総動員して自身と地球の生き残りを賭けつつ、異星人とファーストコンタクトして異言語・異文化を理解し協力するバディものSF映画。

別の言い方をすると、頭が良くて勇敢で度胸があって踊れてコミュ力が高くて見た目がいいライアン・ゴズリングを2時間半ぶっ通しで鑑賞できる映画。

私の中の異星人のイメージは『三体』シリーズの印象が強くて(※)、「え、知らない宇宙船とそんな気軽に接触しちゃって大丈夫?」とハラハラしたけど、そんな心配はなく安心して見てOKだし、なんなら理想の異文化交流が描かれていた。

(※『三体』には、「宇宙は、敵対的かもしれない文明が隠れている暗い森のような場所だ。ほかの知的生命体が友好的かどうか、技術レベルが上か下かを確かめる術がない。存在を知られたら先制攻撃を受けるリスクが高いため、ほかの文明を発見したらやられる前にやってしまえ」という暗黒森林理論が登場する)

映画化されるらしいと聞いて原作は2022年に読んだが、忘れた頃に映画が公開されたものだから、内容をほぼほぼ記憶抹消された状態で見た。

原作のほうが記憶を取り戻すまでとか、アストロファージの説明とか、ロッキーの生態(食事・排泄など)だとかは相当詳しく書かれていたと思うけど、映画は映画でコミカルで破綻なく、エンタメとして存分に楽しく作られていてあっという間だった。

解釈違いで容易に争いに発展する世の中で、相手を理解しようとすること、自他の文化の違いを受け入れ尊重すること、共通の目的があることの重要性を実感させてくれる。

画像
アンディ ウィアー (著), 小野田 和子 (翻訳)

海外ドラマ

ここで紹介するドラマはすべてU-NEXTで鑑賞。

The Wire / ザ・ワイヤー シーズン1~5

メリーランド州ボルティモアを舞台にした犯罪ドラマ。

2年くらい前に初めて見たときは、ボルティモア警察内の部署の絡みが分からりにくいのと、場面の切り替えが多く何が起きているのか複雑なのと、ギャング何人おるねん顔と名前が覚えられんといった理由で第1話で挫折したが、改めて見てみたら脚本が緻密で濃密な見応え抜群のクライム群像劇で、テレビドラマ史上最高傑作のひとつと名高いのも納得だった。

全5シーズン構成で、シーズンを追うごとにボルティモアの別の側面に焦点が当たる。

  • シーズン1:麻薬取引
  • シーズン2:港湾労働
  • シーズン3:市政と政治
  • シーズン4:教育システム
  • シーズン5:マスメディア

新しいシーズンと共に新しい登場人物がわんさか追加されて困惑するものの、シーズン1や2の「あの件どうなった?」がシーズン5につながっていて、パズルのように伏線が組み合わさっていくプロットがすごい。

正義VS悪の構図ではないのも大きな特徴で、正義感のある警察官と麻薬ギャングの対決、という単純な話にはなっていない。

警察側には出世欲や官僚主義の腐敗があり、麻薬ギャング側には、ストリートしか知らない子どもたちがほかの世界を知らないまま大人になり、また新たなストリートの子どもたちを再生産していくという地獄のループがある。

教育現場は人手も予算も足りず、行政の都合に振り回されていて、市政側にはそれはそれで問題があって、とボルティモアの構造的な問題も窺い知ることができる。

ドラマにおいて嘘はストーリーの重要な牽引要素だが、本作は嘘の使い方が実に巧みだなというのも見ていて思ったこと。

敵味方関係なく本音なんてめったに出てこない。真実は必ずしも評価されない世界だからだ。

キャラクターは視線や沈黙で真意をほのめかし、金や情報の流れで真相を追う。

多くを語らないドラマだからこそ、ちゃんと見ないと話について行けなくなる。

逆に、語らなくても複雑な話が筋道を立てて構成されているところが傑作と言われる理由のひとつなんだろうと思う。

ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ シーズン1

『ゲーム・オブ・スローンズ』(以下GoT)のスピンオフ海外ドラマ。GoTの100年前が舞台で、ターガリエン王朝は継続しているがドラゴンはもういない時期。

全6話で1話あたりだいたい30分と短く、コミカルなシーンもあって他シリーズとは雰囲気がけっこう違う。

第1話のインパクトはGoTや『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』ほどではないが、だまされたと思って3話まで見てみると最後まで見ちゃうタイプの作品。『まどか☆マギカ』と同じ。

主人公は、ぜんぜん有名じゃない騎士に仕えていた騎士ダンク。アイルランドと北イングランドの訛りがミックスされた独特なアクセントがなんともいえない素朴さを醸し出す。

どういうわけか謎の少年エッグに「従士にしてくれ」と頼まれ、槍試合に参加するためになんやかんやあり…という話。

なんやかんやの内容がやっぱりGoTだし、登場人物もGoT本編とつながりがあるし(見終わって調べて「そういうことか」ってなった)、いつの時代にもやべー王子がいるんだなと感心する。

あと、このドラマはあまり食事中に見ないほうがいいかもしれない、と食事しながら見て思った。

ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室 シーズン1~2

救急医療現場の特に忙しい1日の15時間を、全15話でノンストップで描く海外ドラマ。

何時間も待つ患者が大量にいるかたわら、次から次へと救急で患者が運ばれてきて、チームワークで次々と対処していく医師と看護師に圧倒される。

限られた予算と人員、上からは顧客満足度を上げろと圧力がかかり、現場の医療従事者たちの負担は相当なもの。さらに患者の家族へのケアも求められる。

患者の生と死の狭間で、医師や看護師のメンタルは正常と不安定を行き来する。

それでも目の前の救える患者を救うことに全力を尽くし、1日をふんばり明日を迎える登場人物を見て、医療従事者への尊敬と感謝の気持ちが湧くとともに、なるべく緊急搬送はされないよう気をつけようと心に誓う。

シーズン1ではフェンタニル、シーズン2ではICE(移民関税執行局)や移民の強制送還など、アメリカの時事問題も取り入れられている。

怪我を負った患者が痛々しいほか、眼球にメス、頭蓋骨にドリルといったシーンも生々しく、とにかく体のあらゆるところからあらゆるものが出てくるので、あまり食事中に見ないほうがいいかもしれんね、と食事しながら見て思った。

方舟 夕木 春央 (著)

「この先どうなるの!?」という空気作りが天才すぎる。

古い地下建築に閉じ込められ、誰かひとり犠牲にしないと脱出できない極限状態で、大変なことが起きるミステリー。

タイムリミットが迫る中で、事件の犯人と生贄を決めなくてはならない緊迫感が凄まじい。

倫理的な問いかけと最後の展開がとにかく読んでいて「うぉぉぉぉ」なので何も知らないまま読むのが一番。

※ネタバレ感想

探偵役は「動機は重要ではない」と言っていたけど、動機こそが最重要だったまである。犯人にとっては最初から生き残りをかけたデスゲームだったわけで、文字通り生きるためなら何でもやれたわけで、そこに気づけていたらあの役割はさせなかったはずなんだ。

十戒 夕木 春央 (著)

「この先どうなるの!?」という空気作りが天才すぎる再び。

『方舟』が面白かったなら読んで間違いない本。

犯人という神の作り出したルールに従わないと死ぬという緊張感がすごい。

衝撃度や分かりやすさは『方舟』ほどではないものの、こっちも最後の最後の最後にびっくりさせてくれる。

※ネタバレ感想

犯人の正体が分かると見える世界が変わる。

どおりで証拠隠滅へのこだわりや、生存への執着がすごいわけだ。言われてみれば話し方も同じだわ。主人公は判断を間違えていたら100%殺されていたと思うと、けっこう背筋凍る。

『十戒』の主人公と『方舟』の主人公の共通点は、どちらも犯人が好きだったこと。一方で決定的な違いは、犯人が犯した罪を知り、その共犯となり、誰にもその秘密を漏らさず生涯ひとりで抱えるだけの覚悟があったかどうかだった(『方舟』のほうは状況的に犯人側につくのはあまりにも不利だったけど)。

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