【サガフロ2リマスター】シナリオ順プレイ感想〈後編〉(追加シナリオ含む・ネタバレあり)
『サガ フロンティア2 リマスター』のシナリオ順の感想。
前回(シナリオ順プレイ感想〈前編〉)の続き。
以下、ネタバレあり。
1300年前後、追加シナリオなど
1288~92 カンタールの死、ケルヴィン最後の戦い
これは追加シナリオではないが。
カンタールが死んで、ヤーデからハン・ノヴァに戻っていた67歳のケルヴィンが覇権を取る。
カンタールのたくさんいる子どものひとり、ヌヴィエムが打倒ヤーデのため諸侯をまわって暗躍するが、それは5年前チャールズに心ない言葉を投げられたという個人的な恨みに端を発する。
憎しみは憎しみを呼ぶし、戦争は個人の事情でいくらでも悪化するもんね。
ヌヴィエムの根回しでラウプホルツ軍が動き、それをケルヴィンが迎え撃つのがソールズベリ平原の戦い。ラウプホルツ公はギュスターヴに攻め込まれた恨みもある。
ケルヴィンが勝つものの、戦いの2年後にケルヴィンが死に、このあともなんやかんや戦争が続く。
ヌヴィエムがこういうのにずっと関わって多くの人が犠牲になったことが、プルミエールの家出の原因というわけだ。
1292~1294 ミーティアの師とその師
ミーティアがヴァンアーブルに弟子入りする経緯を描いた追加シナリオ。
タイラーの成長能力継承がミーティアのもとで太陽のごとく輝き、14歳で斧スキルが40を超えるゴリラガールが爆誕した。
斧技は単体攻撃しかない仕様が活かされ、ザール峠で敵4体に囲まれたミーティアのところに通りすがりのシルマール(98)とヴァンアーブル(47)が助けに入る。
98歳ってなに。
が、シルマールとヴァンの装備はすべて外していたため、ふたりの術士はたいした術が使えないまま戦闘に参加してきたという罠。
シルマールは固有ツールと体術があるからまだいいが、ヴァンは何もできない。ギュスターヴに「お前はアニマに頼りすぎだ」と指摘されていたのに…。
ケルヴィンの次男フィリップ3世が死んだらしく、フィリップと親しかったヴァンは生きる気力を失っていた。
そんなところに術の扱いがなっていない危なっかしいミーティアと出会い、シルマールはミーティアをヴァンに弟子入させる。
それにしてもシルマール先生、98歳で体術バリバリで戦うのすごいなあと思ったので、クリア後に体術すべて修得したあと、もう一度このシナリオを開始し、
シルマール先生(98)の断滅!
シルマール先生(98)のカムイ!!
そんなどうでもいいお遊びをした。
これが大術士の力!!!
1292 ウィル、北大陸捜索行
リッチ死亡翌年、ジニー誕生後、72歳のウィルがリッチを捜すため北大陸へ行った追加シナリオ。
ウィルがウィル・ナイツであることも、捜してるのがリチャードであることも知らないエレノアとユリアが仲間になり、化石洞窟に向かう。リッチが化石洞窟で見たクヴェルを発見。
探索後、リチャードの認識が一致した3人。ウィルはリチャードが人の役に立っていたことを知って感慨深そうにする。
1293 或る伝令兵の脱走
とある伝令兵のミスで本陣が急襲され、フィリップ3世が戦死する。
伝令ミスは故意だったのか偶然だったのか、故意だとしたら誰の命令なのか、詳細不明なままこの伝令兵は敗残兵を狩る紅いサソリを石のアニマで石化させ、のちの石の将魔モイとなる。
何らかの陰謀か不幸なミスでフィリップが死亡したと分かるシナリオ。
ケルヴィンが死んだ翌年だもんな。ヤーデ受難。
1296 大術士、アニマに還る
シルマールが寿命を迎える追加シナリオ。のちの木の将魔となる少女ミカも登場。
偽ギュスターヴ登場以降
1300 偽ギュスターヴ誕生
自称ギュスターヴの孫が流行っている今日このごろ。エッグも持ち主を利用してギュスターヴを名乗ることにした。
ギュスターヴは金髪で優秀な部下がいた、という市民の情報を参考にしており、エッグが以前よりコミュ力アップしている。
1300 ロベルト、九死に一生
北大陸に向かう前のロベルトが、偽ギュスターヴにスカウトされそうになったが、持ち前の危機察知能力で回避した、という追加シナリオ。
ロベルト、やっぱり優秀だったんだな。
1300 ミーティアの冒険
ミーティア2つめの追加シナリオ。
ヴァンがギュスターヴの剣の手入れをしているところから始まり、ミーティアは修行でシルマールの死亡場所に行き、そこで師匠からいろいろ聞くことになる。
オリジナル版では、ミーティアの初登場はヴァンの弟子を名乗ってウィルを呼びに来る場面だったので、背景が補完されてだいぶ分かりやすくなった。
1301 エーデルリッター
サルゴンが偽ギュスターヴに出会い、最初のエーデルリッターになる話。
このときの偽ギュスターヴは、誰が見てもあやしくてうさんくさかったようだ。
サルゴンは、きっと真面目で優秀な青年で、こんなところで詐欺みたいな被害にあっていなければ人々のために活躍できていただろうに。
1301 歌声は消え、剣士は旅立つ
ラウプホルツにいるグスタフが、のちに音の将魔となるイシスを護衛する追加シナリオ。
グスタフの髪型、何度見ても二度見する。
グスタフの持っている炎の剣がファイアブランドだと、この時点でハッキリ分かるようになった。
1303 高貴なる六騎士が揃う
すっかりおっさんになったボルスが偽ギュスターヴにスカウトされ、偽ギュスターヴの六将が揃う追加シナリオ。
ロベルト勧誘未遂から3年経っているが、偽ギュスターヴの勧誘の仕方が百戦錬磨の詐欺師のようになり、コミュ力がピカピカに磨き上がっている。
英雄とは優れた演説により人々の心を掴むものだからね。
トーワやらイシスやらモイやらシルマールの前に現れた少女やら、今まで出てきた怪しい見た目の人たちがみんなエーデルリッターだったことがこのシナリオで判明する。
ジニー編前半
1305 ジニーの旅立ち、ジニーの冒険
ジニー14歳。
テルムに向かうウィルに留守番していなさいと言われたのに、冒険がしたくて家出して船にタダ乗りするやんちゃガール。
ウィルが15歳のときと比べると、ジニーは年相応の子供らしさがある。ウィルは目の前で両親を亡くしているので、大人になるのが早かったのだと思う。
テルムに行きたかったのにノースゲートに着いてしまったナイツの家出娘ジニーは、カンタールの家出娘プルミエール、エーデルリッター初代候補ロベルト、ヤーデ伯家の家出息子グスタフという大層なメンバーと冒険に出かけることになる。
ジニーに対するロベルトの「かわいいね~」が引っかかるようになったのは時代かな。
1305 幼きプルミエールの記憶
プルミエールがグスタフを見て「どこかでお会いしなかった?」と言った理由が明らかになる追加シナリオ。
1290年、カンタールが死んだ2年後、4歳のプルミエールは義母ヌヴィエムに連れられてノール侯領に疎開しており、地下室探検中にモンスターに襲われたときに助けてくれたのが10歳のグスタフだった。
現代に戻り、グスタフがプルミエールを捜しにくる。「宿の窓から君が下りていくのが見えて」と、当時と似た言葉を使って。
プルミエールの「捜しにきてくれてありがとう」は、15年越しに伝えられた感謝の気持ち。
このふたり、運命の出会いじゃないか!!!
おそらくグスタフはプルミエールのことに気づいているし、プルミエールもあれはグスタフだったのではと考えている。
1305 昆虫のメガリス
ジニーに「若さが足りない」と言われ、グスタフが「何も起きないのはいい事だぞ」と返し、プルミエールに「老成し過ぎ」と言われている日常会話、好き。
つまりグスタフは窓の外を眺めて何も起きない時間を楽しみ、何か起きたら駆けつけてくれるってことでしょ。ただのいい人じゃないの。
昆虫のメガリスでリッチの遺品を発見。
帰って泣き崩れるジニー。おそらくジニーが初めて体験する身近な人の死。
父親に会ったことないのに? って思ったけど、ディアナからリッチの話をよく聞いていて、いつか会えると信じていたのかも。
1305 エッグを追って
ノースゲートにウィルがやってきてジニーと再会。エッグのことを知ったジニーを連れてテルムに行くことに。
ロベルトはテルムについていく気まんまん。エッグを倒すという大仕事になるとは予想外だったろうけど、それに対処できるだけの実力がロベルトにはあり、できる人間はチャンスを掴むのがうまいのだなと。
テルムでヴァンと会う。
ノースゲートとテルムはけっこうな距離だが、ヴァンはウィルがノースゲートに行って返ってくるのをずっと待っていたのだろうか。
しかも、ウィルの同行者にフィリップ3世の息子がいて(しかも髪型が前衛的になって)内心で驚愕していたに違いない。
1305 ハン・ノヴァの戦い
ジニーたちがテルムに着いたちょっと前。
偽ギュスターヴ軍がチャールズを撃破し、チャールズが命を落とす。
チャールズの息子デーヴィドは、父の死をチャンスに変えて和平会議の続行を主張。連合軍で偽物を排除しようと呼びかける。
デーヴィドはケルヴィンの誠実さとチャールズの行動力のいいとこ取りをしている。父親成分が濃くなくて本当によかった。
1305 ギュスターヴの陣営へ
偽ギュスターヴ軍の陣営かつ歓楽街だらけのハン・ノヴァにやってきた。
どこもかしこもアダルトなお店で、ジニーちゃんこんなとこ歩き回っちゃダメだろ。
歓楽街の帝王は元気そうだった。
大広場のイベント後、逃げるときに大木を調べると出口でサルゴンが追ってくるの知らなかった。
人間が自我を保ったまま変身して襲ってくる貴重なシーンなのに、なんでこれ必須の戦闘じゃないんだ。
サウスマウンドトップの戦い
今までのコンバットの20倍難しくなった最後のコンバット。
なにも考えずやってみたら、敵のあまりの強さに笑った。ちゃんと準備して8ターン耐えないと勝てないやつ。
いちおう攻略↓
自軍の左右どちらか、遊撃兵を片付けられたほうが4ターン目に壁をつくる(たぶん左側のユニットになる)。
(↑運よく4ターンで遊撃兵を倒せた)
偽ギュスターヴと鋼鉄兵が進軍を始めたら、戦闘ではひたすら身を守る。
常に偽ギュスターヴと鋼鉄兵の前に壁をつくり、戦闘ではひたすら身を守る。
7ターン終了時に自陣の1マス上のラインに立っていれば勝ち確。
4ターン以内に遊撃兵を倒す部分が運要素強めで一番苦労する。
あまり自軍から突撃せず、敵のターンで戦闘になるよう移動距離を調整し、味方2~3ユニットで敵1ユニットを消すようにした。
攻撃は草伏せ。弓兵は常に援護射撃できる位置に置きたい。
4ターン目で両サイドの敵兵が残っていたり、敵が自陣の近くなど変な位置にいたりすると厳しいので、もうダメだなと分かった時点でリセットする。
敵兵のスマッシュで一発KOされることも多々あり、やればやるほど気力を削がれる戦い…。
デーヴィドたちの勝利は、奇跡的なものだったんだろうと思わせる難易度である。
ハン・ノヴァ平和条約が締結し、デーヴィドの演説。
人間がいかにあるかは生まれやアニマで決まるのではない。自分の意志で自分の思うものになれる。しかし信頼できる仲間との協力が必要だ。という内容。
デーヴィドは王にはならなかったが、新時代の英雄と言っていい存在。演説はうまいし、市民からの評判も神話レベル。
ギュスターヴ編最後の主人公デーヴィドは、祖父の世代から続いた戦乱を収め、表の歴史で新たな時代を築いた。
ジニー編後半
1305 彼の戦場を望んで
サウスマウンドトップの戦いを見守るジニー側の話。
デーヴィドを助けに行こうとするグスタフに、ヴァンアーブルがギュスターヴの剣を渡す。
グスタフの素性が明かされ、プルミエールの回想でプルミエールの事情も判明する大事なシナリオ。
オリジナル版プレイ当時は、ケルヴィンとマリーが結婚したのを知ったのがクリア後で、「そもそもなんでグスタフがファイアブランド持ってるの?」と混乱した記憶があるが、リマスターではそんなこと起きない。すばらしい。
ギュスターヴの剣が、かつてギュスターヴを拒絶したファイアブランドを持つ者の手に渡る。ナイツ一族と行動をともにする、ギュスターヴの血筋を引く者の手に。
ギュスターヴ編とナイツ編という、ふたつに別れていたシナリオが大きな本流に繋がったことも暗示する。
プルミエールはカンタールの娘としてオート侯家を支えることを期待されていたが、その意志を継ぐことを拒否した。同じような境遇だったグスタフが従兄のデーヴィドを助けにいくのを見て、体を熱くする。
昔自分を助けてくれたのはグスタフだったと、きっとこのときのプルミエールは気づいている。
ヤーデ伯憎しで生きていたヌヴィエムにプルミエールが疑問を感じたのは、ヤーデ伯家の者であるグスタフに助けられたことが大きいと思う。
優しさがあれば、憎しみは連鎖せず止めることができる。
1305 デーヴィドとギュスターヴ
デーヴィドを助けにいくと言って戦場へ向かったグスタフの追加シナリオ。
実際は戦場ではなく補給物資を燃やしただけで、ほとんどは11年前の回想。14歳のグスタフと18歳のデーヴィドが登場。
ファイアブランドの継承者を再び助けにきた赤いドラゴンも登場。
グスタフもグスタフ父フィリップ3世も、赤いドラゴンに助けられたことになる。
フィリップ3世は兄貴に内緒で息子にファイアブランドを継承させたようだけど、そんなことできるんだ?
息子をフィニーの正当な王位継承者にして、かつ将来のヤーデ伯デーヴィドを守れと指示するの、なんか矛盾してない? デーヴィドがヤーデ伯になったら王位継承者を守るって言うに決まっているのに。
グスタフは他人に生き方を決められて、どれもこれも重すぎると拒絶。
重すぎると言いながらファイアブランドは持って家出するんかと思ったが、ファイアブランドの存在がグスタフと父の遺言をつないでいて、結果としてギュスターヴの剣を受け継ぎ世界を救うことになる。
術が使えずファイアブランドを継承できず追放され「自分の力でできることを見つけなきゃいけない」と話していたギュスターヴ13世と、術が使えてファイアブランドを継承できたゆえに周りに生き方を押し付けられて家出したギュスターヴ15世の対比が見えるシナリオでもある。
あと、ギュスターヴは一人称を俺・僕・私で使い分けていたけど、グスタフもこのシナリオで一人称を3種類使っているのがおもしろかった。
エンディング
自分の力を精一杯試してみたいというギュスターヴの信念が、エッグを壊すという誰にもできない偉業を成し遂げ、世界の平和に貢献したのが感慨深い。
ウィルの長い戦いも終わるが、信頼できる仲間がいたから成し得たこと。
ナイツ家、ギュスターヴの末裔、カンタールの子、シルマールの孫弟子、一般人代表と、ゲームに登場したあらゆる勢力がひとつになって過去の因縁に決着をつけ、新たな時代を切り開くとてもいい清々しい終わり方だった。
リマスターで追加された例のシナリオ
クリア後に追加されるシナリオ「或る英雄の最期」と「南の砦を逃れて」。
1269 南の砦を逃れて
ギュスターヴに何があったのかよりも、ヨハンがギュスターヴに労われていて、ギュスターヴの生きる理由のひとつになっていたことが分かって嬉しかった。
剣を振るえなくなった時点でギュスターヴのアイデンティティは失われたので、表舞台から姿を消したのも納得。
1288 或る英雄の最期
ギュスターヴにはアニマがなかったのか? というレスリーの疑問。
シルマールは答える。赤ん坊のギュスターヴから特別なアニマを感じた。ファイアブランドの儀式で彼のアニマは発現しなかったが、彼は違った形のアニマを持っていただけ、と。
シルマールの見解は、ソフィーの「木々が花を咲かせるのは術の力ですか? 鳥が空を飛べるのは、術が使えるからですか? 術が使えなくても、あなたは人間なの」という言葉が近いように思う。
アニマは魂と似た概念。木々が花を咲かせるのは、木にアニマが宿っているから。鳥が空を飛べるのは、鳥にアニマが宿っているから。でも木々や鳥は術を使えない。
ギュスターヴのアニマは、術に結びつかなかっただけ。術が使えなくてもギュスターヴは人間として生きた。
術が使えない=アニマがないという考えは、術を使えるマジョリティが優位性を保つために作り上げた偏見だったのかもしれない。
シルマールの言う「アニマを持たない、宿らないと思われる物や場所にも、それぞれの形のアニマがある」が本当だとすれば、あらゆるものにアニマが存在し、アニマの有無や優劣を決めること自体が無意味になる。
ギュスターヴの生き方は世界の常識を変えた。
デーヴィドの演説のとおり「人がいかにあるかは、生まれやアニマで決まるのではない」が、当たり前の世界になっていくのだろう。
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ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI
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