【サガフロ2リマスター】シナリオ順プレイ感想〈前編〉(追加シナリオ含む・ネタバレあり)
『サガ フロンティア2 リマスター』のシナリオ順の感想。
16年ぶり2回目のサガフロ2で、プレイ中やクリア後に思ったことをただひたすら書いた。
設定の知識は気になったことをネットで調べた程度。
以下、ネタバレあり。
ギュスターヴ編:最初~病床の母
1227 故郷を離れて
ギュスターヴが追放されて移った貧民街の家…
よく見ると右側の壁に小さな黒い物体がカサササと下に動いているんだけど、これひょっとしてゴ⋯⋯⋯?
ギュスターヴの家庭教師を4年務めたシルマールは、仕事を辞めてグリューゲルに帰ることにしたので、一緒に行きましょうという感じでソフィーとギュスターヴを亡命させる。
地図を見ると、フィニー王国とグリューゲルのある南大陸はけっこうな距離があり、たしかに安全そうではある。
1232 ギュスターヴ12才
グリューゲルで5年過ごし、ギュスターヴはひねくれて、フリンや草木や鳥に暴力的になっていて、いじめられっ子がいじめっ子になる典型例に。
ソフィーに「抵抗できない弱いものをいじめるなど恥ずべきこと」と怒られるが、ギュスターヴはまさに抵抗できない弱い幼少期に父親や国民からいじめられたわけである。
自分が術もアニマも使えない人間のクズだから母に怒られ、父や故郷に拒絶されたのだと、ギュスターヴは当時思っていたかもしれない。
でもソフィーは、術が使えるかどうかは人としての価値に関係がなく、命があれば人間は人間なのだという考え。
1233~36 ギュスターヴと鍛冶屋~再会
13歳でヤーデに移ったギュスターヴ。鋼の剣が作りたいと鍛冶屋に弟子入り。
「術が使えないから自分の力でできることを見つけなきゃいけない」と言い、2年修行して鋼の剣を作った。
術がなくても人生を切り開ける、そのスタートになる。
15歳になったギュスターヴは、フリンを手下ではなく仲間として対等に扱っている。
このときのケルヴィンはギュスターヴの嫌がることを悪気なしに言ったりしていて、まだ距離感があったが、翌年には言葉遣いがギュスターヴに似てきたと指摘されるくらいには親しくなっている。
レスリーもグリューゲルからヤーデに来ており、ギュスターヴは行儀作法修行中のレスリーと再会。
かわいい子がたくさんいる中で一番かわいいと思って話しかけたのがレスリーで、照れ隠しするかのように、そのへんの食べ物を手でつまんで食べている。
レスリーは名家出身で育ちがよく、上品で優秀。誰に対しても分け隔てがなく、言っていることは正論が多い。なんとなくソフィーと似ているのでは。
1239 病床の母
ギュスターヴ19歳。
レスリーがソフィーと似ているのは、レスリーがソフィーを尊敬していて、ソフィーのような大人になりたいと思っているからなのかも。
母親の死に向き合えない、母の人生に責任を感じているギュスターヴに、ケルヴィンが「お前がそばにいるだけでソフィー様は幸せなんやで(意訳)」と声をかける。
約10年後にケルヴィンがソフィーの面影でマリーに一目惚れしたことを考えると、ケルヴィンもレスリーとは少し違う形でソフィーを敬愛していたのだろう。
病床のソフィーは「あなたはもう一人じゃない」「周りの人たちとの関係を大事にしなさい」とギュスターヴに伝える。
だんだんギュスターヴの「はい」のタイミングが遅くなるの、泣くのをこらえているのか、もう泣いているのか、なんにせよ言葉につまっているのが分かる。
ケルヴィン、レスリー、フリンたちがギュスターヴとの関わりを死ぬまで大切にしてくれたのは、ギュスターヴが周りの人との関係を大事にするようになったのはもちろんだけど、それ以上にソフィーがみんなに優しくしていたのが大きい。
「ソフィー様のアニマはいつまでも君と共にある」に「そう信じようと思います」と答えるギュスターヴ。
死者のアニマが共にあるというのは、この世界では当たり前の感覚なのか、儀礼的な言葉なのかプレイヤーには分からない。ギュスターヴにも分からない。
「そう信じようと思います」はとても印象的な返し。ふつうの人だったら「ありがとうございます」と言うのでは。
奇しくもウィルも同じ年に育ての母ニーナを亡くしている。
ウィル編:ウィルの旅立ち~鉱山にて
「潜入!アレクセイ一味」の進め方と「対決!アレクセイ」のボス戦は、攻略を見ないと「そんなの知らんがな」案件でさすがプレステ時代のゲーム。
ニーナおばさんがエッグに対して命をかけるところは、やっぱりナイツの人間なんだなと思わせる。
ウィルは両親も育ての母もエッグのせいで目の前で失うことに(場合によっては恋人も)。
生涯のほとんどを対エッグに費やすことになり、エッグに人生を決められてしまったのがウィルだ。
最初の仕事でたまたま組んだコーデリアとナルセスとタイラーも、ウィルとエッグの因縁を知った上で何十年と付き合いを続けるのだからすごいなと思う。
だからこそこの初期メンバーには愛着が湧く。
ギュスターヴ編:ワイド奪取~父の急逝
夜明けは、新しい始まり、希望、成長などを象徴する。
仲間と共にワイドを奪取したことは、何もなかったギュスターヴが初めて自分の力で成し遂げた偉業であり、ギュスターヴ躍進の出発点だ。
かつてソフィーと故郷を追放されたときの、暗闇の中の船出と対比になっている。
ワイド以降は、ムートンのおかげで軌道に乗ったと言っても過言ではないでしょう。
政治面の安定だけでなく、ネーベルスタンをギュスターヴ陣営に引き込んだ功績はあまりにも大きい。歴史には残らないが。
ウィル編:タイクーン・ウィルあたり
1246 グラン・ヴァレを越えて
ナルセスさん、一度拒否したくせに、やっぱり「一緒に行ってやろう」とウィルには優しくて、初対面のラベールには「おい、女」とクッソ冷たいの笑う。
今思えば、離脱時にちゃんとお別れ宣言をしてくれたのはナルセスさんだけだった(そしてまた出てくる)。
1247 タイクーン・ウィル
タイクーンとして名を残すウィリアムと、クヴェルに支配され何者にもならなかったウィリアム。
何者でもないウィリアムはメガリスビーストになって、誰の記憶にも残らないウィリアムになる。ひとりで兄を探し続け、一緒に帰ることを望んでいたラベールを除いて。
ギュスターヴ編:上陸~ファイアブランドの悲劇
1247~48 上陸~バケットヒルの戦い
27歳になったギュスターヴは、軍隊を率いて東大陸に戻る。
ギュスターヴ個人の目的は王位ではなく、自分の可能性を確かめること。
そんな自分勝手な目的のために多くの者のアニマを犠牲にすることへの罪悪感を抱え、劣等感と野心が葛藤する。
ネーベルスタンはシルマールにギュスターヴのことを叩き込まれている。ギュスターヴの心情を理解した上で、ネガティブな部分が大きくならないよう、ケルヴィンに根回しする。
軍事面では、「あくまでギュスターヴ同士という身内の戦いなのがキモですよ」と説明。
ネーベルスタンもケルヴィンも配下の兵士も南大陸の人間。フィニー王国からすれば他国の侵略だが、ギュスターヴ12世の正当な後継者が率いているのであれば侵略者にならない。フィニーの国民的には、ギュスターヴ13世と14世、勝ったほうを受け入れるだけ。
ネーベルスタン将軍の有能さがよく分かるシナリオ。しごできムートンが才能ある男と認めるだけのことはある。ワイドは人材の宝庫なのか。
ギュスターヴ14世はギュスターヴの腹違いの弟で、最後の言葉が「出来損ないめ」だった。父親にどんな教育をされていたのか、よく分かる。
1248 兄弟再会
テルムに戻ったギュスターヴ。
フィリップもマリーも俺なんかが生まれたせいで母親を失った、と自虐的になるギュスターヴをレスリーがたしなめる。
ギュスターヴの言葉は、ギュスターヴを産んだソフィー、そしてギュスターヴのそばにいるレスリーを否定するものだから。
ギュスターヴはレスリーの言葉に救われたと感謝するが、レスリーは「あなたといても私は全然救われない」と返す。
ふたりの仲はこの時点でははっきり描かれていないが、レスリーが故郷を離れてテルムに来ているのはギュスターヴと一緒にいるため以外には考えられないので、公認の仲と言っていいのでは。
20年間ギュスターヴ憎しで生きてきたフィリップは、ギュスターヴからソフィーのアニマを感じて憎しみが瓦解し、ギュスターヴと和解。
「ソフィー様のアニマはいつまでも君と共にある」が本当だった。
嬉しそうな表情のギュスターヴにフリンが「そういうの続くといいよね」と言葉をかけるが……続かないんだよな。
1249 ハン・ノヴァ建設
新都市ハン・ノヴァ建設。歓楽街3つプランの脚本が天才すぎる。
1251 ケルヴィンとマリーの婚礼
ケルヴィンとマリーのなれそめと、フィニー家の血筋の流れが説明される重要な追加シナリオ。
おかげでギュスターヴとヤーデ伯家のつながりが理解しやすくなるし、カンタールの描写もあるのでカンタールの存在感が増してこの先の話が分かりやすくなる。
とりあえず親友が自分の妹にアタックするのを物陰から応援しているギュスターヴが尊い。
1250~1255 ファイアブランドの悲劇
フィリップの息子フィリップ2世が7歳になって、ファイアブランドの儀式を通過して、王になるのを不安がる息子にフィリップが「ギュスターヴおじさんも手伝ってくれる」って言うくらい兄弟仲は改善していて、ようやく王が誕生してフィニーも安定するという期待感の中で。
突然の暗殺事件に衝撃。
犯人がギュスターヴに「貴方様の御依頼ではありませんか」と言って追撃の衝撃。
フィリップがドラゴンになって息子と飛び去って衝撃のおかわり。
「タイクーン・ウィル」でウィリアムがメガリスビーストになるのを見ているから、フィリップがドラゴンになった理由が何の説明なしでも分かるのよね。
サガフロ2が好きになったきっかけのシナリオで、久々に見ても本当によくできてるなと感激した。
アニマ教の噂、ウィル対エッグ
1256 アニマ教の噂
エッグがアニマ教団の手に渡ったと聞いたウィルと、フィリップ2世暗殺の犯人がアニマ教団だと断定してアニマ教徒を殲滅しに来たギュスターヴ軍がかち合うエピソード。
陰謀度や政治的ダメージの大きさ的に、フィリップ2世の件の黒幕はカンタールのような気がするけど、新しい王様が殺されたわけなので、早急に犯人を決めて処罰しないと市民の気が収まらないというギュスターヴ側の事情はありそう。
1257 ウィル対エッグ
ウィルとギュスターヴが直接会ったのかは語られず、ゲーム内でギュスターヴと言葉を交わす大役を担ったのはタイラーだった。
ギュスターヴに物怖じせず通常運転で対応できそうなのは、タイラーさんくらいだしね。
酒場で髪型の話をされてもまったく動じない。
このセリフ好きすぎる。自分で切っているのか気になりすぎる。
ウィル視点では、エッグにナイツ家の個人情報が筒抜けになっていることが判明する。
ギュスターヴ編:暗殺者ヨハン~ハン・ノヴァ炎上
1261 ラウプホルツ制圧作戦
ヨハンとギュスターヴが出会った翌年の出来事を描いた追加シナリオ「ラウプホルツ制圧作戦」。
ギュスターヴ軍が谷をおさえてラウプホルツを制圧するエピソード。
ヨハンとヴァンアーブルが仲よさげでほっこりしたり、フリンが戦えるようになっていたり、ギュスターヴ編で戦闘機会の少なかったヨハン、ヴァンアーブル、ネーベルスタンがボス戦のパーティメンバーになったりと、チームギュスターヴの幕の内弁当シナリオになっている。
成長能力継承が強すぎて一瞬でボス戦が終わってしまった。
1264 将軍の思い出
主に1228年の回想で、これはシルマールがソフィーとギュスターヴを亡命させた翌年になる。
若く無謀だった頃のネーベルスタンが、初対面のナルセスに「こいつ」とか「ガキ」とか言われて険悪になるわけだが、このときシルマールに怒られた23歳の片方はギュスターヴ13世の右腕となり、もう片方はタイクーン・ウィルの先輩になるというめぐり合わせ。
(それにしても、ナルセスさんは初対面の相手に礼儀正しかったことがあるんだろうか)
回想後、ネーベルスタンに「さようなら」と言いかけたのを「ありがとう」と言い直すギュスターヴのセリフがいい。何年分もの感謝が込められている。
年表に「1264年ネーベルスタン没」と書かれているので、ギュスターヴに挨拶してまもなく将軍は亡くなったということ。
このゲームのキャラクターは、プレイヤーの目の前で死ぬことは少ない。ただし、時の流れとともに寿命を迎えるという現実を突きつけてくる。
1269 南の砦で
夜襲を受けたギュスターヴをヨハンが命をかけて守り、ギュスターヴとフリンは行方不明になる。
ギュスターヴに何があったのか、本当に死んだのかが分からないまま終わる演出が好きだった。
あと、フリンに息子がいるとか、フリンが自分より立場が下の人間には高圧的な話し方になるとか、「へ~」となる要素も。
1271 ハン・ノヴァ炎上
世間ではギュスターヴ死亡とされ、カンタールがぐいぐい出てきて情勢は不安定に。
ケルヴィンの息子チャールズとフィリップが登場するが、チャールズは横柄で野心的でいったい誰に似たんだ。
ケルヴィンがヤーデに帰った1271年、カンタール軍がハン・ノヴァに攻め入ろうとしたところにモンスターと野党がハン・ノヴァ襲撃。
ハン・ノヴァに行ったフィリップのピンチにドラゴンになったフィリップが現れる(ややこしい)。
初見時はドラゴンはハン・ノヴァを守りに来たのか? とよく分かってなかったけど、これはケルヴィンがフィリップにファイアブランドを継承させてたからなんだね。
リッチ編全般
1275 樹海へ
ウィルがエッグと海賊を沈めた20年後、エレノア、リッチ、パトリック、レイモンのパーティがスタート。
いきなり新キャラ2人いるエピソードにぶち込まれるけど、レイモンとパトリックという知った顔がいるのが巧妙。
前回見たときはピチピチの20歳だったレイモンが40歳という事実に時の流れを感じる。
1277 生命の木の島
リッチが70いくつのナルセスのおつかいを頼まれるシナリオ。
よく分からん新キャラだったリッチが、エッグと出会ってウィルの息子と判明する流れ好き。
病弱かと思いきや意外と長生きしてるナルセスさん。パーティ離脱後の消息が分からないキャラが多い中、こうして年を取った姿を見られるだけ貴重。
1260 ラベールの願い
旅先でラベールに再会したタイラーが、怪物になったウィリアムに会いに行く、という話をウィルにしている追加シナリオ。
のちに水の将魔となる少年ボルスも登場。誰からも指図されずにやると決めたことをやり遂げる、ギュスターヴもそうやって偉くなった、とか言ってるが…
ギュスターヴはいろんな人の意見を聞いていたのだが?
才能ある若者を正しい方向に導ける人がいても、本人が人の話を聞かなければまったく意味がないという真理を物語るシナリオでもあった。
ギュスターヴやケルヴィンやネーベルスタンは、人の話をちゃんと聞ける子だったから大成できたのだ。
1278 峠の追い剥ぎ
パトリックとレイモンで峠の追い剥ぎ事件を追い、ごろつきを倒す追加シナリオ。
なんか強そうなおっさんが出てきたなと思ったら、獣の将魔になるトーワだったとあとで分かった。
1285 あの空に虹を
散水塔でユリアのために空に虹をかける! という話だが、どちらかというとサルゴン紹介のためのシナリオな気がする。
↑の会話後にパーティメニュー見たら、ユリアがリッチの10歳下、サルゴンがエレノアの20歳下で笑った。
1290~91 エッグ再び、エッグとの死闘
あまりにもリッチ編のストーリーを忘れすぎていて、このシナリオを見るまで「ジニーのお母さんってエレノアだっけ?」って思ってた。
ディアナだったわ。
リッチはエッグのことなんか無視して、ワイドに帰って父親になる人生を選べたのに、それができなかった。ナイツだから。
ミスティを倒してエッグを手にしたリッチが、エッグと融合するのではなくリッチ・ナイツとして死を選ぶシーンは強烈で、ディアナのことは忘れていても、リッチがエッグを抱えて落ちていく姿は忘れていなかった。
同じくらいの時期にディアナが出産し、ヴァージニア誕生。
ウィルの妻の姿はないってことは、もうこの世にいない…? という、残酷な現実を無言で突きつけてくるのがサガフロ2。
続き

シナリオ順プレイ感想〈後編〉|サガフロ2リマスター
『サガ フロンティア2 リマスター』の追加シナリオ込みの感想
© SQUARE ENIX
ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI
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