【ハウスオブザドラゴン】シーズン3最終話までの各エピソード感想
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』シーズン3各話のネタバレあり感想。
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第1話 塩と海 炎と血
前半はシーズン2最終話のその後を描き、後半は海と空で激しい戦闘が起きる海戦。
親の言うことを聞いた息子が生存する回だった。互いに背を向け、目をほとんど合わせなかったレイニラとジェイス。対照的に、しっかり見つめ合い手を取り合い、キスまでしたアリセントとエイモンド。
エイモンドは父だけでなく兄もいなくなって母親の一番になり、「自分が母を守らなければ」「自分が母を幸せにしなければ」という感情を止める壁がなくなった。
ジェイスは、母親が常に玉座を見ており、なんなら自分より敵のアリセントの言うことを聞いていて、母親の一番になれないどころか裏切りさえ感じている。自立した一人前の人間として、母の庇護から抜け出し戦いへ身を投じ命を落とす。
でもレイニラが海戦に行っていたらレイニラが死んでいたかもしれないので、前向きな見方をすればジェイスは母を守れたのかもしれない。
レイナは念願のドラゴンに乗って助けにきたつもりだったが、野良ドラゴンはやっぱりロイヤルドラゴンとは育ちが違って、コントロールが難しいらしい。
緊迫するエピソードの中、タイランド・ラニスターとロハール姐さんの清々しいまでの足並みの揃わなさが癒しだった。まあ足並み揃ってる陣営なんてないんだけど。
第2話 女王都(クイーンズ・ランディング)
King's LandingにQueenがLandingするという、文字通りの回。
アリスはデイモンに協力する見返りにハレンホールがほしいが、デイモンに相手にされなくておこ。
そしてエイモンドがハレンホールに到着。ストロングたちを殺し、刺され、アリスと遭遇。デイモンが初対面の相手に「助けて」と言うのが意外。
城にいないエイゴンの代わりに、ラリスからの贈り物であるオットーを見せしめに処刑することになるレイニラ。迷いながら泣きながらレイニラはオットーの首を切るが、直視もできず1回目は失敗して二発目で斬る。
もしレイニラが人を斬るのが初めてだったとしたら、その相手がオットーというのは政敵とはいえあまりにも身近な存在で難易度が高かっただろう。
デイモンは法務大臣を一太刀できれいにカット。デイモンって昔から頭部切るのがうまかったよね。
第3話 レイニラ即位
デイモンがオーマンドに忠誠を誓わせ、人質としてヴィセーリスとアリセントの三男デイロンを連れ帰ってきたが、アリセントが「誰やねんこいつ」という顔をしてオーマンドの策士っぷりが明るみに出る。
カネがなく問題山積みの王都を統治できるのか? レイニラは民に寄り添いたいが、政治問題と国庫空っぽがそれを許さない。
それらにもっとも対処できたであろうオットーを前回殺したことで困ったことになっている。
レイニラは王都の貴族や、落とし子問題でコアリーズを敵に回す。アリンとアダムを貴族にしたいのにレイニラに先延ばしにされ、「ジェイスたちも落とし子だろがい」と面と向かってレイニラを罵ったわけだが、そんなことができるのはこの世界でエイゴンとコアリーズくらいだろう。
レイニラとアリセントの仲は悪くないのが癒しだが、アリセントいわく「女王になったら民に扉を閉ざしたり変わらざるを得ない」と。レイニラは私は変わらないと言うが、変わるんだろうね。
第4話 タンブルトン
この子がデイロンだったかー。髪の色はハイタワー色に染めているわけか。Netflixのドラマ『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー』で小さな男の子を演じていた役者さんだと知って感慨深い。
全裸とキレ芸を披露した敬虔で二枚舌のオーマンド、1エピソードだけでこれでもかと癖強で描かれた彼の目的はデイロンを王にすること。匂いに敏感らしい。
デイモンはレイナがシープスティーラーの乗り手だと知り、レイナを守るためレイニラには嘘をつくことにした。
王都で自分が死んだことになってると知ったエイゴン。復活すれば伝説になるとラリスに諭され、生き延びるために膝をついてクソまみれの靴にキスするどん底。
「貴族は勝っても負けても寝る家があっていいよな。俺たちは戦うしかないんやで」byクリストン。
アリセントは末っ子をハイタワーとして育てたくてオーマンドに預け、今までは戦いに巻き込まれなかったし、幸いレイニラも殺さないって言ってくれてるから母としてベストな選択だったと話す。
しかしデイロンは玉座争奪戦の最前線に担ぎ上げられ、このままではエイゴンやエイモンド同様にレイニラが殺したいターガリエンのリストの対象になる。
第5話 まつろわぬ者
ネズミを狩る猫ちゃんが王都を闊歩する。反逆者は殺すよと言わんかのように。
ドーンは決してまげずまつろわず。権力に屈せず自立し、自分の意思で進むことがテーマっぽい回。
クリストンは忠義のために生き誰かに仕えて生きてきたが、王土最強の戦士として戦場で死に、歌に残りアリセントに生き様が伝わることを願う。
ミサリアも自分の意思で誰に仕えるか決めようとしている。
オーマンドは既存の王を認めず、自ら認める王を強引に王にするため、あらゆる策を講じレイニラを揺さぶる。
すべてを失ったエイゴンは、堕落して他責して弟を妬んできたことを認める。エイゴンとエイモンドが互いを嫌っていることを公言し、母の愛を求めていたことが分かる。きょうだいは生まれたときから親の愛情を奪い合うライバルだからね。
でも王都で母の愛を独り占めしているヘレイナは、母からの束縛を感じている。ヘレイナは子を生みたいが、アリセントはその子がレイニラに殺されるか人質にとられるかを恐れて堕胎薬を飲ませたい。
ラリスがエイゴンに「あなたはいくらでも偉大な王になるチャンスがあったのに人間のクズだ」と正論を言いまくる。本来なら親が言わなきゃいけないこと。そんな痛い言葉をエイゴンがちゃんと聞いているのが印象的だった。
シティウォッチが最後の晩餐スタイルで殺される図は衝撃だし、これをやった刺客は強すぎるし手際が良すぎる。
第6話 顔のない男たち
さよならクリストン。シーズン1のころのピュアな笑顔が懐かしい。戦場で散れなかったが、死後どのように自分が語られるか、自分では選べないし知るよしもないので気にしないで。
アリセントのハンカチが血に染まることがなかったことと、同じエピソードでアリセントが望まぬ形で王都を離れることになったのが、なんだか運命的に感じた。
グウェインがクリストンのもとを離れたのは、役目の終わったクリストンのそばではなく、これからの重要人物デイロンの命を救う役割があったからだった。レイニラにとって邪魔なオーマンド&デイロンを救ったのがアリセントの兄さんという皮肉。ハイタワー男子はどこまでもレイニラの道を阻む。
アリスとエイモンドとドラゴンの卵は何の話につながるのか。
オーマンドの右腕の人、難なくコアリーズに接近して襲ってるのすごくない? この人がシティウォッチをやったのかと思ったくらいだよ。
ミサリアがレイニラに嘘をつき、ヘレイナはアリセントの嘘を責める。嘘がどんどん積み重なっている。レイニラとアリセントは嘘は言い合わないものの、以前ほど視線を合わせなくなっている。
ドラゴンシードがやりがい搾取されてQoLダダ下がりで不穏。アルフが仲間と会えなくなったようにヒューも妻から拒絶され、アダムは想い人ベイラが兄貴といい感じになっている。一応核兵器のスイッチを持っている人なのだから、もっと丁重に扱わないと危ないだろうに。
第7話 冬のドラゴン
レイニラ陣営はボロボロ。王都内だけでなく、コアリーズがオーマンドの人質になり、アルフがオーマンドに丸め込まれており、オーマンド側がだいぶ有利に見えるが、デイロンがオーマンドに従いたくないと思っているので、デイロンの動き次第で内部崩壊するかも。
ハレンホールに到着したアリセントが、エイモンドとアリスと食卓を囲んでいたが、画面越しでも気まずさが伝わってきて笑ってしまった。
レイナが生かされているということは、きっと挽回のチャンスが来るか、あるいはもっと大惨事を引き起こすか、何らかの出番があるのだと思うけど、いつどんな形だろう。
エイゴンとエイモンドの対比、今回はドラゴンを取り戻したエイゴンと、ドラゴンを失ったままのエイモンドになっていて、先行きの明暗が分かれている。
死を覚悟したエイゴンの演説にサンファイアが駆けつけたのは奇跡で、正当な王に奇跡のストーリーが組み合わさったら無敵だ。
今シーズンで好感度が上がったのがタイランド・ラニスター。シーズン2でもそうだったが、仕事はきっちりやって、しかも最後まで投げ出さない。一応ちゃんと自分の主張はするものの、最終的には上司の言う通りにして裏切らない。王に「俺は最低か?」と聞かれて答えに詰まるのは、嘘はつかないということでもある。絶体絶命のピンチで2度も助かっているので運も強い。
第8話 タンブルトンの反逆
原文は"The Treasons at Tumbleton"でtreasonsが複数形。アルフがデイモンたちを裏切ったのと、デイロンとグウェインがオーマンドを裏切ったことで戦況が大きく変わった。
シーズン序盤でネズミが王都を跋扈していたように、裏切りはシーズン3の大きなテーマだった。
カネも名誉もないがドラゴンだけはあるアルフを誰も大切にしなかったから、アルフは無敵の人になって無差別攻撃をした。よそ者に責任ある仕事をしてもらうなら監視はつけるべきだし、報酬は前払いでもいいくらいだった。
オーマンド、6話でデイロンに「尻を守れ」と言っていたのがブーメランで返ってきて、笑っていいのか分からなかったけど笑った。今思えば入浴シーンでわざわざオーマンドの尻を映したのも、「最後ここに刺さってから死にますから!」っていう制作側の隠されたメッセージだったのかもしれない。
オーマンドは死んだけど、ロクストンは生き残ったのが今後もきな臭い。デイモンと互角だったのは只者じゃないということでは。
王冠と鎖帷子に身を包んで大聖堂に向かうレイニラの、今までとは明確に異なるアイメイク。それまでの倫理観を捨て、闇に落ちたことを象徴する。
エイゴン復活という勝ち目のないニュースでレイニラは焦り、精神的余裕がなく、だからハイセプトンを殺すという越えてはならない一線を超えて民を裏切った。「今までのあなたではいられない。女王になる前は嫌悪していたこともするようになる」のアリセントの警告が思い出される。
ヘレイナは、生きていたら息子が奪われるし、ドラゴンに乗って戦うことになるから、その運命を拒否するために自殺したのだろうか。
ヘレイナの死と共に、アリセントの前を青い蝶が横切る。ヘレイナの死で、ヘレイナを何よりも守りたがっていたアリセントにも変化が起こるのか。レイニラを責めるだろうか。しかし、ヘレイナを檻に閉じ込めていたのはアリセントでもあるし(エイゴンと結婚させたのも含め)、必ず迎えに来るという約束を守れなかったわけなので、一方的にレイニラを責めることはないかも。
ヘレイナのタペストリーは、レイニラが玉座にしがみつけば人間もドラゴンも死ぬ運命にあると示唆しているように見える。
最後にレイニラは窓を閉めた。ミサリアを追い払い、ベイラなどレイニラの周りの者たちも静かにレイニラから離れている中で、この窓を閉める行為は他者の声・不都合な現実や予言をシャットアウトすることを意味し、レイニラの孤立を強めている。
別視点の感想:【ハウスオブザドラゴン】「父親の不在」で見るシーズン3までのキャラクター行動原理
